資産運用のリスクを抑える分散と長期投資

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
資産運用のリスクを抑える分散と長期投資

子どもが生まれ、教育費や自分たちの老後のお金を考えて投資を始めたいと思っても、「元本割れしたらどうしよう」という不安で止まってしまう家庭は少なくありません。

資産運用でいうリスクは、損をすることそのものではなく、運用成果の振れ幅のことです。振れ幅はゼロにはできませんが、投資先や時期を分けること、長く続けること、コストを抑えることで、結果のぶれを小さくできます。ここでは、リスクの種類、分散と長期投資の効果、毎年かかるコスト、子育て世帯の制度の使い分けを、金融庁や金融経済教育推進機構(J-FLEC)などの資料で確かめた範囲で整理します。制度の内容は2026年10月時点のものです。

リスクは運用成果の振れ幅

J-FLECは、資産運用のリスクを「将来期待される運用成果の振れ幅(不確実性)」と説明しています。リスクが大きい商品は、大きな利益が出ることも、大きな損失が出ることもある商品です。金融庁は、株式や投資信託は預貯金よりも高いリターンを期待できる一方で、元本割れのおそれもあると説明しています。

振れ幅を生む主な要因は次のとおりです。

リスク 内容
価格変動リスク 社会情勢などの変化で株式や債券の価格が変わる。投資信託も組み入れた株式や債券の値動きの影響を受ける
為替変動リスク 外貨建ての商品は、為替レートの変動で円での手取りが購入時と変わる
信用リスク 投資先の会社が破たんすると、株式は価値がなくなり、債券は元本や利子が支払われないことがある
金利変動リスク 金利が上がると債券価格は下がる。満期までが長い債券ほど影響が大きい
流動性 換金のしやすさ。すぐ換金できる預金もあれば、日数がかかる商品や途中換金に手数料がかかる商品もある

投資信託は、投資信託にかかわる会社が破綻しても信託財産は保全される仕組みですが、値下がりによる損失は投資家が負います。どのリスクをどれだけ負うかは商品ごとに違うため、目論見書のリスクの説明を読んでから選びます。

資産・地域・時間の分散で振れ幅を抑える

分散投資は、値動きの異なるものを組み合わせて、全体の振れ幅を抑える方法です。J-FLECは、分散の方法として、特徴の異なる資産を組み合わせる「資産の分散」、複数の地域や通貨を組み合わせる「地域の分散」、投資のタイミングを何度かに分ける「時間の分散」を挙げています。

分散の方法 例
資産の分散 株式・債券・不動産など値動きの異なる資産を組み合わせる
地域の分散 国内と海外、複数の国や通貨に分ける
時間の分散 一度にまとめて買わず、決まった金額を定期的に買い続ける

金融庁は、値動きが異なる複数の資産に分散して投資すると、価格の変動をある程度抑えられると説明しています。消せるのではなく、抑えられるという点に注意が要ります。世界中の株式が同時に下がる局面では、分散していても資産全体が値下がりします。

時間の分散にあたる積立投資について、金融庁は、安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまったりすることを避けられると説明しています。個人が自分で多くの銘柄に分散するには多額の資金が必要ですが、投資信託なら1万円程度から複数の資産に分散した投資ができます。

長期投資と複利の効果

長期投資は、数か月や1年ではなく、5年、10年と長い期間投資を続ける方法です。J-FLECは、長期投資によって元本割れのリスクを減らせるほか、複利の効果が大きくなると説明しています。複利とは、運用で得た収益を元本に加えて運用し、収益がさらに収益を生むことです。

たとえば100万円を年3%で運用でき、収益をすべて再投資したと仮定すると、20年後は約181万円、40年後は約326万円です。期間が2倍になると、増える額は2倍以上になります。ただし、毎年3%が保証されるわけではありません。実際の値動きは年ごとに上下し、この計算は複利の仕組みを示すための単純な例です。

長く続けるには、途中の値下がりで慌てて売らないことも必要です。使う時期が決まっているお金ほど、その時期が近づいたときに相場が下がっている場合を想定しておきます。

信託報酬は保有している限り毎年かかる

投資信託を持っている間は、運用管理費用(信託報酬)が保有額に応じて日々、信託財産から差し引かれます。長く持っても負担率が下がるわけではなく、持っている期間の分だけかかり続けます。

100万円分の投資信託を信託報酬年0.5%で持つと、値動きを無視した単純計算で1年に約5,000円、10年で約5万円です。長期投資では、この年率の差が積み重なります。金融庁によると、NISAのつみたて投資枠の対象になっているインデックスファンドの信託報酬は、投資先が国内のもので平均0.27%、内外・海外のもので平均0.34%です(2026年10月8日時点)。

つみたて投資枠の対象商品は、購入時の手数料がかからず、保有中も金融機関に手数料を支払わないことが法令の基準になっています。売買を繰り返さない長期の積立では、購入時の手数料よりも、毎年かかる信託報酬の差が成果を左右します。

教育費と老後資金で制度を使い分ける

子育て世帯のお金は、使う時期で分けて考えると制度を選びやすくなります。金融庁は、資産形成には「貯蓄」と「投資」があり、資産状況やライフプランに合わせて使い分けるよう勧めています。

制度・方法 主な特徴(2026年10月時点) 向いているお金
預貯金 元本と利子の支払いが確実で、すぐ引き出せる 使う時期が近いお金
NISA(つみたて投資枠) 運用益が非課税。年120万円、生涯1,800万円(成長投資枠と合わせて)。売却の時期に制限はない 使う時期が先のお金(教育費・老後資金)
iDeCo 掛金が全額所得控除、運用益も非課税。原則60歳まで引き出せない 老後資金
未成年のNISA(2027年1月から) 0〜17歳が対象。年60万円、上限600万円。12歳以降は一定の要件で払い出し可 子ども本人の大学進学など、成人前後に必要なお金

2023年まで新規の投資ができた「つみたてNISA」は、2024年からのNISAの「つみたて投資枠」に引き継がれました。今から口座を開く場合は、つみたて投資枠を使います。2023年末までにつみたてNISAで買った商品は、新しいNISAの外枠で、当時の非課税措置のまま管理されます。

iDeCoは、確定拠出年金法に基づく私的年金で、加入は任意です。会社が掛金を出す企業年金とは別の制度で、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選びます。原則60歳になるまで引き出せないため、教育費の準備には使えません。2026年12月1日からは拠出限度額が引き上げられ、企業年金のある会社員は企業年金と合わせて月6.2万円が上限になる予定です。

2027年1月から始まる未成年のNISAは、子ども本人に帰属するお金で買い付ける仕組みで、親や祖父母の口座の資金で直接買うことはできません。その年の1月1日時点で18歳になっている年からは、自動的に18歳以上のNISAに移ります。制度の詳細は、こどもNISAの記事で整理しています。

まず、子どもの進学までの年数と、老後までの年数を夫婦で書き出してみると、どのお金をどの制度に置くかを決めやすくなります。

投資を始めるときの金額の決め方や商品の選び方は、こちらの記事で取り上げています。

iDeCoの仕組みと税制の優遇は、こちらの記事で詳しく説明しています。

未成年のNISAの払い出しの条件や贈与税との関係は、こちらの記事にまとめています。

出典

よくある質問

投資信託なら元本割れしませんか
元本割れすることがあります。投資信託は元本が保証された商品ではなく、運用で生じた損益はすべて投資家に帰属します。分散投資で値動きの幅は抑えられますが、なくすことはできません。
つみたてNISAの口座は今から開けますか
2023年までのつみたてNISAで新たに投資することはできません。2024年からはNISAの「つみたて投資枠」に引き継がれており、今から始める場合はこちらを使います。
iDeCoは企業年金の一種ですか
違います。iDeCoは確定拠出年金法に基づく個人型の私的年金で、自分で掛金を出して運用します。会社が掛金を出す企業型確定拠出年金とは別の制度です。
教育費の準備にiDeCoは使えますか
使えません。iDeCoの資産は原則60歳になるまで引き出せません。教育費は預貯金やNISAで準備し、2027年1月からは子ども名義のNISA(つみたて投資枠)も選択肢になります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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