併願の私立大学、入学金はいつまでに払う?

教育費・進学memStock編集部
併願の私立大学、入学金はいつまでに払う?

大学入試の併願で先に合格した私立大学に入学金を納めると、あとで国立大学などに進むために辞退しても、入学金は原則として戻りません。2006年の最高裁判決の考え方で、入学金は入学できる地位を得る対価とされているためです。文部科学省は2025年6月に私立大学へ負担軽減を求めましたが、2026年度入試で対応したのは私立大学・短大836校中83校でした。合格通知が届いたら、その日のうちに納付期限と返還条件を募集要項で確かめます。

払った入学金が戻らない理由

入学金はその大学に入学できる立場を確保するための支払いとされ、辞退しても大学に返す義務がないからです。文部科学省が2025年6月26日の通知で引いた2006年11月27日の最高裁判決の考え方では、「その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負わない」とされています。

例外は、入学金が不相当に高額であるなどの特段の事情がある場合です。返還義務がないとされた対象は入学金で、前払いした授業料まで常に戻らないという意味ではありません。辞退したときに授業料などがどう扱われるかは、大学ごとの入学手続要項で確かめます。

私立の入学金を納めたあとに別の大学へ進むと、私立と進学先の双方で入学金の支出が生じます。入学金調査プロジェクトの2024年調査では、二重払いを経験した人が27%いたとされています。ただ集計表は画像での公開で、設問や対象人数は確かめられていません。

合格通知が来たら募集要項のここを見る

入学金の納付期限、分納や延納の可否、辞退したときの返還条件の3か所を探します。期限は大学や入試方式ごとに違い、「合格発表から何日以内」という全国共通の決まりはありません。文部科学省も通知の中で、入学料の額や納付期限の取扱いは「各設置者において判断されるべきもの」としています。

国立大学の日程と並べると、私立の期限が国立の発表より先に来るかどうかがわかります。

日付の目安 出来事 確認先
私立の合格発表後(大学ごとに異なる) 私立大学の入学金の納付期限 各大学の募集要項・入学手続要項
2027年3月6日〜10日 国立大学 前期日程の合格発表(2027年度入試) 国立大学協会の実施要領、各大学の募集要項
2027年3月15日 国立大学 前期日程の入学手続締切 国立大学協会の実施要領、各大学の募集要項
大学ごとに異なる 返還制度がある私立大学の辞退申出期限 各大学の入学手続要項

返還の制度がある大学でも条件は細かく分かれています。2026年度入試では、美作大学が指定の入試で合格し、国公立大学に合格して進学するために辞退する人を対象に、2026年3月31日までの申請で入学金を全額返還するとしていました。必要書類があり、振込手数料は本人の負担です。

桃山学院大学は2026年度、併願制の全入試を対象に、2026年3月12日までに辞退を申し出た人へ、入学申込金23万円のうち5万円を除く18万円と春学期授業料を返すとしていました。どちらも2026年度の制度で、2027年度入試の条件は各大学の最新の要項で確かめる必要があります。読むときは対象の入試、辞退の理由、申出の期限、差し引かれる額をそろえて見ます。

国立の発表を待ってくれる大学はまだ少数

2025年11月末時点で、2026年度入試から入学金の負担軽減に対応した私立大学・短大は、調査対象836校のうち83校でした。納付期限を後ろ倒しにするなどの対応は、そのうち39校です。

文部科学省は2025年6月26日の通知で、私立大学の設置者に、入学しない学生の入学料について負担軽減の方策を講ずるよう「努めること」と求めました。返還を義務づけたり、不返還を禁じたりする内容ではありません。同年12月25日に公表されたアンケートの主な回答は次のとおりです。

回答(2025年11月末時点・836校が対象) 校数
2026年度入試で対応 83校
2027年度入試から対応予定 39校
時期は未定だが対応する方向 88校
対応するかどうか検討中 357校
現時点で対応する予定はない 176校

「210校が対応」という数字は、上の表の初めの3行を足したものです。2027年度からの予定と時期未定の大学を含み、210校がすでに制度を設けたという意味ではありません。対応予定なしの176校は、対象全体の約21%にあたります。

2026年度入試で対応した83校の中身(複数回答)は、辞退の時期に応じた全額または一部の返還が25校、納付期限の後ろ倒しなどが39校、分納が7校、入学料の引き下げが15校、経済的に困難な人への配慮が17校でした。出願先が対応しているかどうかは、各校の要項を見るまでわかりません。

国立と私立で入学金はいくら違う

2026年10月時点で確認できる令和7年度の数字で、国立大学の入学料の標準額は28万2,000円、私立大学の学部の平均は24万365円です。入学金だけなら国立の標準額のほうが高く、授業料では私立の平均が国立の標準額を43万円ほど上回ります。

区分 入学金 授業料(年) 出典年度
国立大学(標準額) 28万2,000円 53万5,800円 令和7年度
私立大学(学部の平均) 24万365円 96万8,069円 令和7年度

国立の28万2,000円は標準額で、各国立大学法人は特別の事情がある場合、標準額の120%を上限に入学料や授業料を決められます。私立の平均は592校の集計で、初年度に納める学生納付金などの総計は平均150万7,647円でした。この調査は隔年で行われています。

私立の平均と国立の標準額を足すと52万2,365円です。私立の入学金を納めたまま国立に進むと、入学の時期にこの規模の支出が重なります。

小学校から高校までの学習費が公立と私立でどう違うかは、費目別に比べた記事があります。

入学金の支払いに手元の資金が足りないときは、教育ローンの金利を比べた記事が参考になります。

入学金を払う前に家族で決めておくこと

私立の納付期限が国立の発表より先に来たとき、入学金を払って合格を押さえるかどうかを、出願の段階で決めておきます。合格通知が届いてからでは、期限までに家族で話し合う時間が取れないこともあります。

2027年度入試の国立前期日程では、合格発表が3月6日から10日、入学手続の締切が3月15日です。出願する私立大学ごとに入学金の納付期限を書き出し、この発表日より前に来る大学がいくつあるかを数えます。期限が先に来る大学が1校なら、その1校分を出すかどうかを決めれば足ります。

返還や期限の後ろ倒しの制度がある大学なら、子が受ける入試が対象か、辞退の申出がいつまでかを確かめておきます。制度がない大学の期限が先に来るときは、入学金を出す前提で資金を用意するか、その大学には入学金を納めないかを選ぶことになります。

進学費用を前もって積み立てる方法は、こちらの記事で扱っています。

出願校が固まったら、国立前期の発表日より前に期限が来る私立大学を拾い出してみてください。その大学の入学金を足した額が、発表の前に用意しておく金額です。

出典

すべて2026-10-19に確認。

よくある質問

滑り止めの大学に払った入学金は、別の大学に進んだら返ってきますか?
原則として返ってきません。2006年の最高裁判決の考え方では、入学金は入学できる地位を得る対価で、辞退後も大学に返還義務はありません。ただ返還制度を設けた私立大学もあり、対象の入試や申出期限が決まっているので、入学手続要項で確かめます。
私立大学の入学金はいつまでに払わなければなりませんか?
大学や入試方式ごとに違い、全国共通の期限はありません。文部科学省も、納付期限の取扱いは各設置者が判断するものとしています。各大学の募集要項と入学手続要項で確かめます。
私大の入学金を、国立の結果が出るまで待ってくれる大学はありますか?
ありますが、少数です。文部科学省の2025年11月末時点の調査では、2026年度入試で納付期限の後ろ倒しなどをした私立大学・短大は39校でした。対象836校のうち176校は、現時点で対応する予定はないと答えています。
大学の入学金は二重払いになりますか?
私立の入学金を納めたあと国立など別の大学に進むと、私立と進学先の双方で入学金の支出が生じる場合があります。令和7年度の私立の平均24万365円と国立の標準額28万2,000円を足すと、52万2,365円です。

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