公立と私立の教育費の差はどこで開く?

教育費の公立と私立の比較に使われる「学習費総額」とは、文部科学省の「子供の学習費調査」の用語で、保護者が1年間に支出した子供1人当たりの経費を指します。学校教育費・学校給食費・学校外活動費の3つを足した額です。2026年10月時点の最新は、2026年1月16日に訂正された令和5年度調査。公立小・中で最も大きい費目は学校外活動費、私立は小・中・高とも学校教育費で、公立と私立の差の大半は学校教育費で生まれています。
学習費総額は3つの費目でできている
学習費総額に入るのは学校教育費・学校給食費・学校外活動費の3つです。どれも保護者が払った額で、無償化などで国や自治体が負担している分は含みません。学習費総額を「教育にかかるお金の全体」と読むと、公費の分だけ実際より小さく見えます。
高校は学校給食費が調査の対象外です。
令和5年度調査の訂正後の値を、学校種ごとに並べると次のとおりでした。
| 学校種(令和5年度・2026年1月16日訂正後、年額) | 学校教育費 | 学校給食費 | 学校外活動費 | 学習費総額 |
|---|---|---|---|---|
| 公立小学校 | 8万1,753円 | 3万8,405円 | 21万6,107円 | 33万6,265円 |
| 私立小学校 | 105万4,083円 | 5万3,601円 | 72万428円 | 182万8,112円 |
| 公立中学校 | 15万747円 | 3万5,667円 | 35万6,061円 | 54万2,475円 |
| 私立中学校 | 112万8,061円 | 9,317円 | 42万2,981円 | 156万359円 |
| 公立高校(全日制) | 35万1,452円 | 対象外 | 24万6,300円 | 59万7,752円 |
| 私立高校(全日制) | 76万6,490円 | 対象外 | 26万3,793円 | 103万283円 |
給食費は小学校と中学校のどれでも年5万円台以下で、3つの費目の中ではいちばん小さい額です。給食費だけを取り出した話は、こちらの記事にまとめています。
公立小・中の最大費目は学校外活動費
公立小では年額の約64%、公立中では約66%が学校外活動費です。学校教育費は公立小で8万1,753円、公立中で15万747円にとどまり、学校外活動費の21万6,107円、35万6,061円を下回っています。
公立高校(全日制)になると順番が入れ替わります。学校教育費35万1,452円に対して学校外活動費は24万6,300円で、総額に占める割合は約41%でした。公立で学校外活動費がいちばん大きいのは小学校と中学校まで、ということになります。
もう一つ目を引くのが中学校の学校外活動費。公立中の35万6,061円と私立中の42万2,981円の差は6万6,920円で、総額の差101万7,884円から見るとわずかです。学校の外にかかる支出は、中学では公立でも私立でも年30万〜40万円台の水準にありました。
中学受験をする家庭では、私立中に入る前の小学生の時期に受験塾の費用がかかります。塾代の数え方は、こちらの記事で整理しています。
私立との差は学校教育費で開く
私立と公立の年額の差のうち、学校教育費が占める割合は小学校で約65%、中学校と高校で約96%です。中学・高校の差は、ほぼ学校教育費の差だけで説明できます。
| 学校種(令和5年度・訂正後) | 差額(私立−公立) | うち学校教育費 | うち学校外活動費 | 学校教育費の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 149万1,847円 | 97万2,330円 | 50万4,321円 | 約65% |
| 中学校 | 101万7,884円 | 97万7,314円 | 6万6,920円 | 約96% |
| 高校(全日制) | 43万2,531円 | 41万5,038円 | 1万7,493円 | 約96% |
表に入れていない給食費の差は、小学校で私立が1万5,196円多く、中学校では私立のほうが2万6,350円少なくなっています。学校教育費・給食費・学校外活動費の差を足すと、表の差額になります。
小学校だけは学校外活動費の差も約50万円あります。私立小の学校外活動費は72万428円で、公立小の3倍を超えました。総額の倍率で見ると、私立は公立の小学校で約5.4倍、中学校で約2.9倍、高校で約1.7倍です。
倍率は小学校がいちばん大きいものの、学校教育費の差額は小学校97万2,330円、中学校97万7,314円で、どちらも約97万円とほぼ同じでした。小学校の倍率が高いのは、公立小の学校教育費が8万1,753円と小さいことに、学校外活動費の差が重なるためです。
高校の差額43万2,531円も、ほとんどが学校教育費の差です。高校の授業料への支援で自己負担がどう変わるかは、こちらの記事で扱っています。
2026年1月の訂正で数字が変わった
文部科学省は2026年1月16日、令和3年度と令和5年度の「子供の学習費調査」の数値を訂正しました。訂正後の値は、文部科学省の「『子供の学習費調査』結果の訂正について」と、e-Statの統計表「1 学校種別の学習費」(2026年1月16日更新)で確かめられます。
令和5年度分の原因として、文部科学省は推計作業の計算式の誤り、回答データの外れ値処理の誤り、データの入力誤りを挙げています。共通の原因は確認体制が不十分だったことでした。
私立小の学習費総額182万8,112円のように、訂正の前後で総額が同じ学校種もあります。それでも費目の内訳は訂正後の表で読みます。2026年1月16日より前に書かれた記事の内訳は、訂正前の値の可能性があります。
古い年度の数字にも注意がいります。「幼稚園から高校まで私立で1,830万円、公立で541万円」はよく引用されますが、2018年度調査にもとづく値です。令和5年度の値と同じ表に並べて比べると、年度の違いが差に混ざります。
次の調査は令和7年度分
次に出るのは令和7年度調査の結果です。文部科学省の公表予定は調査年の翌年12月頃で、令和7年度分は2026年12月頃の見込み。調査は2年ごとで、2026年10月時点では令和5年度が最新です。
令和7年度の値はまだ公表されていないため、どの費目がどれだけ動くかは言えません。新しい値が出たら総額の増減より先に、今回と同じ3つの費目で並べ直すと、変化がどこで起きたかが見えます。公立小・中で学校外活動費が最大のままか、中学・高校の差額に占める学校教育費が9割台のままか。この2つを見れば、構造が変わったかどうかを判断できます。
教育費を子どもの年齢ごとに見通したいときは、こちらの記事から読めます。
手元の家計簿で、塾や習い事の1年分を学校への支払いと分けて足してみると、公立小の21万6,107円、公立中の35万6,061円という平均とどのくらい離れているかがわかります。
出典
すべて2026-10-19に確認。
- 子供の学習費調査(政府統計の総合窓口 e-Stat・2026年1月16日更新) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001012023
- 「子供の学習費調査」結果の訂正について(文部科学省・2026年1月16日) https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000046779_01.pdf#page=1
- 「子供の学習費調査」結果の訂正について 令和5年度調査 訂正後・小中学校(文部科学省・2026年1月16日) https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000046779_01.pdf#page=22
- 「子供の学習費調査」結果の訂正について 令和5年度調査 訂正後・高校(文部科学省・2026年1月16日) https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000046779_01.pdf#page=26
- 子供の学習費調査 令和5年度「1 学校種別の学習費」(e-Stat・2026年1月16日更新) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?cycle=0&layout=datalist&page=1&tclass1=000001224200&tclass2=000001224201&tclass3=000001224326&tclass4val=0&toukei=00400201&tstat=000001012023
- 子供の学習費調査 公表予定(文部科学省・日付記載なし) https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/mext_01814.html
- 幼稚園から高校まで私立だと1830万円(nippon.com・2020年1月20日) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00626/
よくある質問
- 公立と私立の学費は何倍違いますか?
- 令和5年度調査(2026年1月訂正後)の学習費総額で比べると、私立は公立の小学校で約5.4倍、中学校で約2.9倍、高校(全日制)で約1.7倍です。差額のうち学校教育費が占める割合は、小学校で約65%、中学校・高校で約96%でした。
- 公立小学校の学費は年間平均いくらですか?
- 令和5年度調査(2026年1月訂正後)では、公立小学校の学習費総額は年33万6,265円です。うち学校教育費は8万1,753円、学校給食費は3万8,405円、学校外活動費は21万6,107円でした。
- 幼稚園から高校までの学費の総額はいくらですか?
- 「私立で1,830万円、公立で541万円」は2018年度調査にもとづく古い値です。令和5年度(訂正後)の年額を小学校6年・中学校3年・高校3年分足すと、公立は約544万円、私立は約1,874万円になります。学年ごとの違いを無視した単純計算で、幼稚園の分は入っていません。
- 高校によって学費は違いますか?
- 令和5年度調査(2026年1月訂正後)の全日制の平均で、公立高校の学習費総額は年59万7,752円、私立高校は103万283円です。差の約96%は学校教育費(公立35万1,452円、私立76万6,490円)の差で、学校外活動費はどちらも24万〜26万円台でした。
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