家族旅行の写真、残し方と共有の注意

家族旅行から帰ると、スマホには数百枚の写真が残ります。祖父母に送りたい、成長の記録として取っておきたい、SNSにも載せたい。どれも自然なことですが、写真の置き場所と共有のしかたを決めずにいると、スマホの故障で消えたり、思わぬ範囲に広がったりします。
この記事では、総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」と「インターネットトラブル事例集」、国家サイバー統括室の「インターネットの安全・安心ハンドブック」、こども家庭庁・警察庁・総務省などが共同で作った保護者向けリーフレット、GoogleとAppleの公式ヘルプをもとに、家族旅行の写真の残し方と共有の注意を整理します。特定のアプリをすすめる記事ではありません。
写真は撮ったスマホだけに置かない
総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、スマホが壊れて写真や動画を失った事例を挙げ、壊れたり紛失したりするリスクは常にあるとして、データを別の場所にコピーしておくバックアップを勧めています。方法としては、iPhoneならiCloud、AndroidならGoogleアカウントにログインして設定からバックアップを有効にするやり方と、パソコンや外付けハードディスクにコピーするやり方が紹介されています。
旅行の写真は、帰宅したその日のうちに、スマホ以外の場所にも残しておくと安心です。クラウドとパソコン・外付けハードディスクのように、性質の違う置き場所を組み合わせると、どちらかに問題が起きても写真が残ります。
無料の保存容量と、使い切ったときに起きること
クラウドに写真を預ける場合は、無料で使える容量を知っておく必要があります。2026年10月時点の公式ヘルプでは、次のとおりです。
| サービス | 無料の保存容量 | 共有する範囲 |
|---|---|---|
| Googleアカウント(Googleフォトなど) | 最大15GB | Gmail・Googleドライブ・Googleフォトで共有 |
| iCloud(Apple) | 5GB | 写真・ファイル・バックアップの保管 |
Googleフォトは、以前は「高画質」で保存すれば容量にカウントされない扱いでしたが、2021年6月1日以降にバックアップした写真と動画は、保存容量の節約画質(旧称「高画質」)でもGoogleアカウントの保存容量を使います。同日より前にその画質でバックアップした分はカウントされません。いまは「容量無制限」ではないため、メールやドライブのファイルと合わせた15GBの中でやりくりすることになります。
容量を使い切ると、Googleフォトへの写真や動画のバックアップができなくなり、Gmailでのメールの送受信もできなくなります。Googleのヘルプでは、保存容量の上限を超えた状態が2年間続いた場合、Gmail・ドライブ・フォトのコンテンツが削除される可能性があるとしています。Googleフォトを2年以上使っていない場合も、写真や動画が削除される可能性があります。どちらの場合も、削除の少なくとも3か月前に知らせると案内されています。
無料の容量で足りなくなったら、有料のプランで容量を増やすか、古い写真をパソコンなどに移して整理するかを選びます。家族の写真を誰のアカウントに集めるのかも、このときに決めておくと迷いません。
写真に記録される位置情報を確かめる
スマホで撮った写真には、撮影した場所の情報が入っていることがあります。国家サイバー統括室の「インターネットの安全・安心ハンドブック」は、スマホによっては購入時の設定で写真に位置情報を記録するようになっている場合があり、写真の画像データにはExif(イグジフ)と呼ばれる、撮影日時や機種などを含むデータが保存されると説明しています。ジオタグ(位置情報)を付けたままSNSに投稿すると、サービスによっては位置情報がわかる形で公開されることもあり、位置情報はストーカーの手がかりになると注意しています。
位置情報は、便利な機能でもあります。Appleの案内では、写真に埋め込まれた座標をもとに、あとから写真アプリで撮影された場所に基づいて検索できます。撮影時に記録しておき、人に渡すときだけ外す、という使い分けができます。
| 操作 | iPhone(写真アプリ) | Googleフォト |
|---|---|---|
| 撮影時に記録しない | 設定>プライバシーとセキュリティ>位置情報サービス>カメラで「しない」 | 端末のカメラの設定による |
| 共有するときだけ外す | 共有のオプションで「位置情報」をオフ | 共有アルバム・リンクごとに撮影場所を共有するか指定 |
| 撮った写真から消す | 「情報を調整」>「位置情報を調整」>「位置情報なし」 | Googleフォトが推定した撮影場所は編集・削除できる |
Googleフォトは、ランドマークなどの情報から撮影場所を推定する場合があります。また、パートナーとの共有を設定していると、共有するすべての写真に撮影場所の詳細が含まれるようになるため、設定を一度確かめておきます。
子どもの写真をSNSに載せる前に
こども家庭庁・警察庁・消費者庁・総務省・法務省・文部科学省・経済産業省が2024年1月に発行した保護者向けリーフレットは、成長記録としてSNSに投稿した写真や動画が、知らない人に悪用されてしまうケースもあると注意を促しています。SNSでの投稿は事前に複数人でチェックすること、お風呂の写真や水着、裸に近い写真はネットに上げず、家族や親戚など信頼できる人だけの思い出として扱うこと、SNSにアップする場合は顔がわからないように加工することを勧めています。
位置情報を消しても、写真に写ったものから場所がわかることがあります。総務省の「インターネットトラブル事例集」は、写ったものから撮影場所が特定されることがあり、特定の人に公開するつもりでも、写り込んだものや訪れた店・地域から生活範囲が推測できてしまうと説明しています。総務省の子ども向けページ「情報通信白書 for Kids」も、制服から学校名が、町の様子から住所がわかることもあるとしています。旅行の写真なら、宿の名前や子どもの名札、学校名のわかる持ち物が写っていないかを、投稿前に見直します。旅行中に載せるか、帰宅してから載せるかも、家族で決めておけます。
共有の設定ミスにも注意が必要です。総務省の事例では、友達だけに見せるつもりでファイル共有サービスにアップロードした旅行の写真が、共有設定の誤りで誰でも見られる状態になり、拡散してしまいました。拡散した写真は削除できないため、アップロードする前に公開範囲を確かめることが対策として挙げられています。
家族で決めておくこと
ここまでの注意を、旅行のたびに一から考えるのは手間がかかります。家族の写真をどのアカウントに集めるか、祖父母とはどの方法で共有するか、SNSに載せるのは誰がどの範囲で行うか、位置情報は共有時に外すか、を一度決めておくと、旅行のたびに迷わずに済みます。
SNSに載せる場合も、公開の範囲は選べます。総務省の事例集は、「鍵アカ」などで特定の人とだけ共有する方法もあるとしています。ただし、限られた相手への共有でも、受け取った人が保存したり転送したりすれば広がる可能性は残ります。子どもが大きくなってきたら、どの写真を誰に見せてよいかを本人にも聞いて、家族のルールを見直していくとよいでしょう。
旅行の計画の立て方は、別の記事でまとめています。
出典
- 事例9 スマホが壊れて写真や動画を失った(総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/case/end_user/09/
- 事例10 友達だけに共有したつもりの写真が全世界に公開されてしまった(総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/case/end_user/10/
- 気をつけてアップしてたはずなのに(総務省 インターネットトラブル事例集)https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/case/case17.html
- 写真・動画は個人情報のかたまり!?(総務省 情報通信白書 for Kids)https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/safety/point2/sns/sns_02.html
- インターネットの安全・安心ハンドブック(国家サイバー統括室)https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/handbook.html
- インターネットの安全・安心ハンドブック Ver5.10 第3章(国家サイバー統括室)https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/pdf/handbook/handbook-03.pdf
- ネット・スマホ活用世代の保護者が知っておきたいポイント(こども家庭庁・警察庁・消費者庁・総務省・法務省・文部科学省・経済産業省、2024年1月)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/6c24f580-b700-4f64-904a-fbd0ea0a77b2/da2f641b/20240329_councils_internet-kaigi_18Q7pDv7_03.pdf
- Google のストレージの動作について(Google アカウント ヘルプ)https://support.google.com/accounts/answer/9312312?hl=ja
- ドライブ、Gmail、フォトの保存容量を管理する(Google ドライブ ヘルプ)https://support.google.com/drive/answer/6374270?hl=ja
- Google フォトのアクティビティとストレージについて(Google フォト ヘルプ)https://support.google.com/photos/answer/10100180?hl=ja
- 写真の位置情報について(Google フォト ヘルプ)https://support.google.com/photos/answer/6153599?hl=ja
- iCloud+のプランと料金(Apple サポート)https://support.apple.com/ja-jp/108047
- 「写真」で位置情報メタデータを管理する(Apple サポート)https://support.apple.com/ja-jp/guide/personal-safety/ips0d7a5df82/web
よくある質問
- Googleフォトは今も容量無制限ですか?
- 無制限ではありません。2021年6月1日以降にバックアップした写真と動画は、画質にかかわらずGoogleアカウントの保存容量を使います。無料の容量は最大15GBで、Gmail・Googleドライブと共有です。
- 写真の位置情報は、どうすれば消せますか?
- iPhoneの写真アプリでは、写真ごとに「情報を調整」から「位置情報なし」を選べます。共有するときだけ外す場合は、共有のオプションで「位置情報」をオフにします。Googleフォトでは、共有アルバムやリンクごとに撮影場所を共有するかどうかを指定できます。
- 子どもの写真をSNSに載せてもいいですか?
- 載せるかどうかは家庭の判断ですが、こども家庭庁などのリーフレットは、投稿前に複数人でチェックする、顔がわからないように加工する、お風呂や水着の写真はネットに上げない、といった注意を挙げています。写り込んだ制服や建物から場所が推測されることもあります。
- スマホが壊れても写真を残すには、どうすればいいですか?
- 総務省は、クラウドサービスやパソコン、外付けハードディスクなど、別の場所にデータをコピーしておくバックアップを勧めています。スマホのバックアップ機能を有効にしておくと、データが自動的にクラウドに保存されます。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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