投資信託の分配金とは?仕組みと税金

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
投資信託の分配金とは?仕組みと税金

教育費の積み立てに投資信託を選ぼうとすると、「分配金あり」「毎月分配型」「分配金再投資コース」といった言葉が並び、どれを選べばよいか迷います。分配金が出た翌日に基準価額が下がっているのを見て、損をしたのではと不安になる人もいます。

分配金は、預金の利息のように元本とは別に生まれるお金ではありません。ここでは、金融庁、資産運用業協会(旧・投資信託協会)、国税庁の説明をもとに、分配金と基準価額の関係、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の違い、税金、受け取るか再投資するかの考え方を順に整理します。

分配金は信託財産から支払われる

投資信託は、決算のたびに収益などの一部を投資家に分配します。分配金は投資信託の信託財産から支払われるため、支払われた分だけ純資産総額が減り、基準価額も下がります。たとえば分配前の基準価額が1万口あたり11,000円で、1,000円の分配をすると、分配後の基準価額は10,000円になります。

金融庁は、投資信託の分配金は預貯金の利子・利息とは性質が異なると注意を促しています。預金は利息が支払われても元金は変わりませんが、投資信託は分配した分だけ基準価額が下がります。また、分配金は保有期間にかかわらず、決算時点で持っている口数に応じて支払われます。

決算の頻度は1年、6か月、3か月、毎月などファンドごとに決まっていて、分配の方針は信託約款に定められ、交付目論見書で確認できます。実際の分配額は運用会社が決め、運用状況によっては分配されない期もあります。受取コースの場合、分配金が口座に入るのは一般的に決算日から4〜5営業日後です。

「分配の直前に買えば分配金をもらえて得をする」と考える人もいますが、直前に買えばその分高い基準価額で買うことになり、分配後は基準価額が下がります。資産運用業協会は、分配金と基準価額を合わせて考えると、分配の前に買うか後に買うかは投資成果にほとんど影響しないとしています。

普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の分かれ方

分配金には、運用の収益から支払われる「普通分配金」と、元本の一部を払い戻す「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。どちらになるかは、分配後の基準価額と「個別元本」を比べて、投資家ごとに決まります。個別元本は、その人が買ったときの基準価額(販売手数料は含まない)で、同じファンドを何回かに分けて買うと移動平均で計算し直されます。

分配後の基準価額が個別元本以上なら、分配金はすべて普通分配金です。分配後の基準価額が個別元本を下回ると、下回った部分が元本払戻金になり、元本払戻金を受け取った人の個別元本はその分だけ下がります。

資産運用業協会の例で確かめます。分配前の基準価額11,000円、分配金1,000円、分配後10,000円のファンドを、それぞれ100万口持っている2人がいるとします。

  • 個別元本9,500円で買った人: 分配後の10,000円が個別元本を上回るので、分配金10万円はすべて普通分配金です。税金は所得税・復興特別所得税15,315円と住民税5,000円の計20,315円で、手取りは79,685円になります。個別元本は9,500円のままです
  • 個別元本10,500円で買った人: 分配後の10,000円が個別元本を500円下回るので、1万口あたり500円が元本払戻金、残る500円が普通分配金です。100万口では元本払戻金5万円(非課税)、普通分配金5万円で、税金は7,657円(円未満切り捨て)と2,500円の計10,157円、手取りは89,843円です。個別元本は10,000円に下がります

同じファンドの同じ分配でも、いつ買ったかで中身が変わります。基準価額が高いときに買った人ほど、分配金の一部が自分の元本の払い戻しになりやすいということです。毎月分配型のように分配の回数が多いファンドでは、この差が毎月積み重なるため、分配金の額とあわせて基準価額の動きも見ておく必要があります。

分配金にかかる税金

普通分配金は配当所得として、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が差し引かれます。分配金を再投資するコースでも普通分配金には課税され、税金を引いた残りで買い増しされます。元本払戻金は元本の払い戻しにあたるため非課税で、再投資しても課税されません。

普通分配金は受け取る前に源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。2027年1月1日以後に生じる所得からは、復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税(所得税額の1%)が加わりますが、国税庁は合計の税率に変更はないとしています。

元本払戻金は非課税といっても、個別元本が下がるため、のちに解約したときの利益はその分大きく計算されます。解約時の計算や、特定口座・一般口座の違い、損益通算は、こちらの記事で計算例とともに整理しています。

受け取るか再投資するか

分配金のあるファンドでは、分配金を現金で受け取る「受取コース」と、同じファンドを買い増す「再投資コース」を選べる場合があります。どちらを扱うか、購入後に変更できるかは販売会社が決めています。再投資は原則として購入時手数料がかからず、保有口数が増えて複利の効果が働きます。一方で、売却しない限り成果を現金で受け取れません。

差の大きさを、単純な前提で比べてみます。100万円を10年間運用し、ファンドは毎年5%の収益をすべて普通分配金として支払い、基準価額は変わらないものとします。税率は20.315%、信託報酬などの費用は考えません。

  • 受取コース: 毎年の分配金5万円から税金を引いた39,842.5円を受け取り、10年で約39.8万円。手元の合計は元本と合わせて約139.8万円です
  • 再投資コース: 税引き後の3.98425%で毎年増えるため、10年後は約147.8万円です
  • 同じ5%で運用し、分配をせずに基準価額が上がり続けた場合: 10年後は約162.9万円で、解約時に利益約62.9万円に20.315%がかかり、手取りは約150.1万円です

再投資では毎年の課税で増え方が鈍り、分配を出さない場合は課税が解約時まで後ろにずれます。実際の基準価額は毎日変動するため、この差はあくまで仕組みの比較です。生活費や学費に充てる予定があるなら受取、使う予定のないお金なら再投資か分配頻度の少ないファンドと、使い道から考えると選びやすくなります。

分配金の多さで選ばないために

分配金が多いファンドのトータルリターンが高いとは限りません。トータルリターンは、受け取った分配金と基準価額の変動を合わせた成果です。資産運用業協会は、計算期間中の収益を超えて分配金が支払われ、基準価額が大きく値下がりするケースもあると説明しています。金融庁も、受益者自身の損益にかかわらず、投資信託に収益等があれば分配金は支払われると示しています。

金融庁の2016年の資料では、毎月分配型を持つ人のうち「分配金として元本の一部が払い戻されることもある」と理解していた人は37%でした。分配金の中身は、決算ごとに届く交付運用報告書の分配金の状況で確認できます。基準価額の推移とあわせて見ると、分配が運用の成果に見合っているかを判断しやすくなります。

NISAで持つ場合も考え方は同じです。NISA口座の分配金は非課税ですが、再投資するとその分も非課税枠を使います。成長投資枠では、毎月分配型の投資信託は対象外です。

出典

よくある質問

分配金が出ると損をしたことになりますか
分配金は信託財産から支払われ、その分だけ基準価額が下がるので、税金を除けば、分配の前後で受け取った分配金と基準価額を合わせた価値は変わりません。普通分配金にかかる税金の分は減ります。損得は、分配金と基準価額の変動を合わせたトータルリターンで判断します。
元本払戻金(特別分配金)は運用で損をしているということですか
分配後の基準価額が、その人の個別元本を下回っていることを示します。同じ分配でも、安いときに買った人には普通分配金、高いときに買った人には元本払戻金になることがあります。
再投資コースなら税金はかかりませんか
普通分配金は再投資しても20.315%が課税され、税引き後の金額で買い増しされます。元本払戻金は受け取っても再投資しても非課税です。
分配金を受け取ったら確定申告が必要ですか
普通分配金は源泉徴収されているため、原則として確定申告は不要です。元本払戻金は非課税なので申告の必要はありません。ほかの口座の損失と相殺したい場合などは申告が必要になります。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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