投資信託で分散投資、配分はどう決める?

資産形成・投資memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
投資信託で分散投資、配分はどう決める?

教育費や老後に向けて、NISAで投資信託の積み立てを始めた。そこまでは決めたものの、商品一覧を開くと「国内株式」「先進国債券」「バランス型」と種類が多く、何をどれくらいの割合で持てばよいのか分からなくなる。そんな場面は珍しくありません。

金融庁は資産形成の基本として「長期・積立・分散投資」を挙げています。この記事では、そのうち「分散」を中心に、投資信託でどう組み合わせ、決めた配分をどう保つかを、金融庁や資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合して発足)、金融経済教育推進機構(J-FLEC)などの資料から整理します。特定の商品や「正解の配分」を示すものではなく、自分で決めるための材料をまとめたものです。

分散は「資産・地域・時間」の3つで考える

J-FLECの用語集は、分散投資を「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」などを用いた投資手法と説明しています。特徴の異なる複数の資産を組み合わせること、複数の地域や通貨を組み合わせること、投資のタイミングを何度かに分けることの3つです。

金融庁のNISA特設ウェブサイトも、値動きが異なる複数の資産(国内/海外、株式/債券/不動産など)に分散して投資すると、価格の変動をある程度抑えられ、安定的な運用を目指せるとしています。資産運用業協会は「卵は一つのカゴに盛るな」ということわざを引き、投資先や投資時期などを分散させることが資産運用で大切だと述べています。

投資信託は、この分散を少額で行いやすい仕組みです。個別株で複数銘柄に分散しようとすると、1銘柄でも数十万円が必要なものがほとんどですが、投資信託なら1万円程度から分散投資ができると資産運用業協会は説明しています。

資産の分散:株式と債券は値動きが違う

金融庁は主な金融商品を「安全性」「収益性」「流動性」の3つで比べ、3つとも優れた金融商品はないとしています。株式は収益性が高い一方で安全性は低く、債券は両方が中程度という位置づけです。

知るぽると(金融広報中央委員会)の解説では、株式と債券は景気変動によって一般的に逆の値動きをすると説明されています。好景気では株価が上がって金利も上がり、債券価格は下がる。不景気ではその逆です。ほかの変動要因もあるため常にそうなるわけではありませんが、両方を組み合わせることで、それぞれの価格変動リスクを補い合うことが期待できます。

投資信託の値動きの要因について、資産運用業協会は価格変動リスク、為替変動リスク、信用(デフォルト)リスク、金利変動リスクを挙げています。債券に投資する投資信託でも、金利が上がると債券価格は下がり、満期までの期間が長い債券ほどその影響を大きく受けます。「債券なら値下がりしない」わけではない点は、配分を考えるときの前提になります。

地域の分散と為替の影響

海外の資産に投資する投資信託は、投資先の国の経済や企業業績に加えて、為替の影響を受けます。資産運用業協会によると、外国通貨建ての資産に投資する投資信託は、一般に円高で基準価額にマイナス、円安でプラスの影響があります。金融庁の資料は、先進国と比べて新興国は資産の値動きだけでなく為替レートの変動幅も大きい傾向があるとしています。

一方で、国情の異なる複数の国に分けておけば、ある国の経済が悪化しても別の国が好調ということがあり、リスクを減らすことにつながると知るぽるとは説明しています。円以外の通貨を持つことは、円の価値が下がることへの備えにもなります。

為替の影響を抑える仕組み(為替ヘッジ)があるかどうかは、投資信託ごとに異なります。資産運用業協会が定める「属性区分」には為替ヘッジの有無が含まれ、目論見書で確かめられます。投資対象の地域も「国内」「海外」「内外」の区分で表示されています。

時間の分散と長期保有:過去のデータで見る損益の幅

時間の分散は、積立投資のことです。一定の金額で定期的に買い続けると、基準価額が高いときは買える口数が少なく、低いときは多くなり、平均の買付単価を抑える効果が期待できます。この方法は「ドル・コスト平均法」と呼ばれます。

金融庁の「NISA早わかりガイドブック」(2023年6月時点の法令に基づく版)には、1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資をした場合の試算が載っています。保有期間5年では、100万円が74万円〜176万円と、始めた時期によって元本割れもありました。保有期間20年では186万円〜331万円で、少なくとも1989年以降のデータでは元本割れとなったケースはなかったとしています。

ただし、これは過去のデータに基づくシミュレーションで、将来の成果を予想・保証するものではないと金融庁は明記しています。資産・地域・時間の分散を組み合わせ、長く続けることで振れ幅が小さくなる傾向を示した資料として読むのがよさそうです。

配分は「使う時期」から決める

どの配分が合うかは、お金を使う時期や家計の状況によって家庭ごとに違います。資産運用業協会は、手元の資金を使うタイミングで分けることを勧めています。すぐに使うかもしれないお金(生活費や不意の出費への備え)は普通預金など、数年後に使うことが決まっているお金(住宅資金など)は定期預金や個人向け国債など元本の安全性が高いもの、当面使わないお金は株式や投資信託など、という分け方です。

子どもの教育費でいえば、大学入学までまだ時間がある分と、数年後に払う分とでは置き場所が変わります。資産運用業協会は、出産や教育、住宅ローンの返済などで支出が多い「働き盛りの世代」には、子どもの将来や自分の老後の準備も考え、中長期的に着実に増やしていける投資信託を組み合わせることを勧めています。

自分で複数の投資信託を組み合わせるほか、1本で国内外の株式・債券などに分散する「バランス型」(資産複合型)を選ぶ方法もあります。金融庁の集計では、2026年10月8日時点でつみたて投資枠の対象商品は372本で、そのうち内外の資産複合型の公募投信は154本です。知るぽるとは、運用に自信がない人向けに、自動的にリバランスを行うバランス型の投資信託を検討する方法も紹介しています。

コストとリバランスで配分を保つ

投資信託には、購入時手数料、保有中に信託財産から日々差し引かれる運用管理費用(信託報酬)、換金時の信託財産留保額などのコストがあります。金融庁の資料では、インデックス運用はアクティブ運用よりコストが相対的に低く、アクティブ運用の成果はインデックスを下回る場合があるとしています。

つみたて投資枠の対象となる指定インデックス投資信託には、信託報酬の法令上の上限があり、投資先が国内のものは0.5%、内外・海外のものは0.75%です。2026年10月8日時点の平均は、国内が0.27%、内外・海外が0.34%と金融庁は集計しています。

コストの差は長く持つほど開きます。仮に、コストを引く前の運用利回りが毎年4%で一定とし、信託報酬0.3%と1.3%の投資信託に100万円を20年間預けたとします(信託報酬を利回りから単純に差し引いて計算)。実質の利回りは3.7%と2.7%になり、20年後の評価額は約207万円と約170万円で、約36万円の差になります。

配分を決めたあとも、値動きによって割合は少しずつずれていきます。日本証券業協会は、崩れた割合を元に戻す「リバランス」について、毎年1回など期間を決めて行う方法と、最初の状態から1割以上ずれたらなど変化に応じて行う方法があるとし、個人には1年に1度、家計の棚卸しの一環として行うことを勧めています。リバランスは、割合が大きくなった資産を売るだけでなく、新しいお金で小さくなった資産を買い足すことでもできます。

たとえば株式と債券を50万円ずつ持っていて、1年後に株式が60万円、債券が45万円になったとすると、株式の割合は約57%です。株式を7.5万円売って債券を買えば半々に戻り、売らずに債券を15万円買い足しても半々に戻ります。NISA口座で売却した場合、売った商品の簿価の分だけ非課税保有限度額が翌年以降に復活しますが、その年の年間投資枠に上乗せされるわけではありません。積立額の配分を変えて買い足すやり方なら、売却を伴わずに割合を整えられます。

転職や子どもの誕生、進学など家族の状況が変わったときは、配分の比率そのものを見直すことも必要だと日本証券業協会は述べています。年に一度、家計の見直しと一緒に、投資信託の配分と使う時期の対応を確かめておくと、分散の効果を保ちやすくなります。

NISAのつみたて投資枠で選べる指数連動型の投資信託について、選び方を別の記事で整理しています。

出典

よくある質問

投資信託を1本だけ持つのは、分散になっていないのですか?
投資信託は1本の中で多くの銘柄に投資しているため、銘柄の分散はできています。ただし国内株式だけ、米国株式だけといった商品では、資産や地域の分散は限られます。目論見書の商品分類で「国内/海外/内外」「株式/債券/資産複合」などの区分を確かめると、1本でどこまで分散できているかが分かります。
リバランスはどのくらいの頻度で行えばよいですか?
日本証券業協会は、個人の場合は1年に1度、家計全体の棚卸しの一環として行うことを勧めています。毎回やり方を変えるのではなく、「いつ」「どのように」行うかを自分で決めておくことも挙げています。なお、リバランスは常にプラスに働くとは限らず、特定の資産が値上がりし続ける場合などはマイナスになることもあります。
NISAで売却してリバランスすると、非課税枠はどうなりますか?
売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ、翌年以降に非課税保有限度額が復活し、再利用できます。ただし、その年の年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)が増えるわけではありません。生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。
数年後に使う予定の教育費も、投資信託で運用してよいですか?
資産運用業協会は、数年後に使うことが決まっているお金は、定期預金や個人向け国債、公社債投資信託など元本の安全性が高いもので持つ考え方を紹介しています。金融庁の試算でも、保有期間5年では始めた時期によって元本割れがありました。使う時期が近いお金と、当面使わないお金を分けて考えると、配分を決めやすくなります。
m
この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

山
この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

関連記事