子育て中の親のセルフケアとストレス対策

暮らし・住環境memStock編集部(更新: 2026年10月22日)
子育て中の親のセルフケアとストレス対策

子どもを寝かしつけたあと、片づけと翌日の準備をしていると、もう日付が変わっている。週末も気が休まらず、ささいなことで子どもや家族に強い口調になってしまう。仕事と子育てを両立している家庭では、そんな日が続くことがあります。

親のセルフケアというと特別な習慣を想像しがちですが、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」や、睡眠・身体活動のガイドで勧められているのは、睡眠、からだを動かすこと、人に話すことといった身近な行動です。公的な情報で確かめられる範囲で、忙しい親が取り入れやすい方法と、ひとりで抱えきれないときの相談先を整理しました。

疲れやイライラはストレスのサインかもしれない

こころの耳は、ストレスと上手につきあうコツのひとつに「自分のストレスに気づく」ことを挙げています。こころの面では憂うつ感、イライラ、やる気が出ない、体の面では食欲がない、寝つきが悪い、朝早く目が覚める、行動の面では人との交流を避ける、飲酒や喫煙の量が増えるといった変化がサインになります。こうした症状が2週間以上続く場合は「うつ」が疑われるため、精神科や心療内科に早めに相談するよう勧めています。

ストレスの原因になりやすい出来事として、こころの耳は家族の病気や子どもの進学、夫婦や親子の不和、収入の減少、仕事の量や勤務時間の変化などを例示しています。子育て期はこうした出来事が重なりやすい時期です。「最近おかしいな」と感じたら、気合いで乗り切ろうとする前に、何が負担になっているのかを書き出してみると整理がつきます。

睡眠と生活リズムを立て直す

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人について「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことを推奨しています。あわせて、量だけでなく、朝起きたときに休まった感覚(睡眠休養感)があるかどうかも目安にしています。

生活リズムを整える手がかりは、起きる時刻をそろえることと光の浴び方です。e-ヘルスネットによると、朝に浴びた光は体内時計を朝型に整え、夕方から深夜の光は夜型にずらします。起きたらまずカーテンを開けて光を取り込み、寝る前や寝床の中ではスマートフォンやゲームを避けるのが基本です。睡眠ガイドのリーフレットは、就寝間際の夕食や夜食を控えることも挙げています。昼寝は15分程度の長さで十分だと、e-ヘルスネットは説明しています。

散歩など、からだを動かす時間をつくる

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)行うことを推奨しています。ただし全体の方向性は「個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」で、まとまった時間が取れない人には、今より10分多く体を動かす「プラス・テン」を呼びかけています。保育園の送り迎えを歩きにする、昼休みに少し外を歩くといった生活の中の活動も身体活動に含まれます。

同ガイドは、身体活動量が多い人はうつ病などの発症リスクが低いという報告や、WHOのガイドラインで身体活動によりうつや不安の症状が軽減されるとされていることを紹介しています。睡眠との関係では、e-ヘルスネットが、足早のウォーキングのような有酸素運動を習慣にすると寝つきがよくなると説明しています。夜に歩く場合は、交感神経を興奮させないよう就寝の2〜4時間前までに済ませます。

短い時間でできるリラクセーション

体を動かす時間がない日は、その場でできる方法もあります。こころの耳のセルフケア教材は、手軽な方法として腹式呼吸による呼吸法を挙げ、自宅や職場の席でも短時間でできるとしています。長時間同じ姿勢でいると筋肉が緊張するため、ゆっくり伸ばすストレッチも勧められています。反対に、ストレス解消のための喫煙や習慣的な飲酒は勧められないと明記されています。

家族やパートナーに気持ちを伝える

負担を一人で抱え込む背景には、言いたいことを我慢してしまうことがあります。こころの耳はアサーションを「相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適した表現で伝えるコミュニケーション方法」と説明しています。こころの耳のセルフケア研修マニュアルでは、自己表現を攻撃的、非主張的、非主張かつ攻撃的、アサーティブの4つに分け、伝えるときは「客観的な事実や状況」「自分の思い」「具体的な提案」「必要なら代替案」の4つを盛り込むと相手に伝わりやすいとしています。

たとえば「なんで手伝ってくれないの」と責めるかわりに、「今週は残業続きで夕食の準備が回らない(事実)。正直かなり疲れている(思い)。火曜と木曜の夕食をお願いできる?(提案)難しければ、週末の作り置きを一緒にやってほしい(代替案)」と組み立てます。職場で仕事を断るときも、断るだけでなく「現状だと○○なら可能です」と代替案を示すほうが理解を得やすいと、同じマニュアルは説明しています。

共働き夫婦で負担を話し合うとき

総務省「社会生活基本調査」(2021年)では、6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯の家事関連時間(家事・育児・介護・買い物)は、1日あたり夫は1時間54分、妻は7時間28分でした。家族の中で負担が偏ると、片方に疲れがたまりやすくなります。こころの耳は、家族の支えを得るために、自分がどんな状況でどんな気持ちかを話すことや、家族への要望を具体的に伝えることを勧めています。話しにくいときは、手紙やメールを使ってもよいとしています。

ストレスから立ち直る力を支えるもの

こころの耳のセルフケア教材は、ストレスを「ストレス要因」「ストレス反応」「ストレス耐性」に分けて説明し、ストレス耐性を、押されたボールが元の状態に戻ろうとする力にたとえています。回復力(レジリエンス)を考えるときの手がかりになります。ストレスは避けられないものの、うまく対応できれば成長にもつながるとしています。

この力を支えるものとして、こころの耳はストレスへの対処(ストレスコーピング)を、ストレスの原因そのものに働きかける方法、周囲の協力を得て解決する方法、不安や怒りを人に聴いてもらって発散する方法に分けています。そのうえで、困ったときに相談できる人を持つことを極めて重要なことと位置づけています。考え方の面では、つらい気分につながっている考えに気づき、少しでも気分が楽になる別の考え方を探す練習(認知再構成)が、研修マニュアルで紹介されています。仕事から離れた趣味の時間や、友人や知人と話す時間を持つことも、セルフケアの方法として挙げられています。

ひとりで抱えきれないときの相談先

e-ヘルスネットは、「うつ」が心配なときはまず疲れたこころと体を十分に休めるよう勧めています。休んでもつらさが続くときは、早めに次のような窓口を頼ってください。

  • 働く人の「こころの耳電話相談」(無料):平日17時〜22時、土日10時〜16時(祝日・年末年始を除く)。働く人とその家族が対象です
  • こころの健康相談統一ダイヤル:かけた場所の都道府県・政令指定都市の公的な相談機関につながります(受付時間は地域で異なります)
  • いのちの電話(無料):毎日16時〜21時
  • 「親子のための相談LINE」(こども家庭庁):子育てや親子関係の悩みを、18歳未満のこどもと保護者などが匿名でも相談できます
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル:保護者のSOSも受け止める窓口で、近くの児童相談所につながります。通話料は無料です

身近な窓口としては、市区町村の「こども家庭センター」が、妊産婦や子育て家庭の相談を母子保健と児童福祉の両面から受けています。出産後1年以内の母子は、市区町村の産後ケア事業の対象です。こども家庭庁のガイドラインは、出産後1年を通じてメンタルヘルスケアが特に求められるとしています。こころの不調全般は、都道府県・指定都市の精神保健福祉センターや保健所でも相談できます。

子育て世帯が使える支援制度は、次の記事で一覧にしています。

睡眠を整える生活習慣は、こちらで詳しく扱っています。

出典

よくある質問

毎日60分も歩く時間が取れません。意味はありますか?
身体活動・運動ガイド2023は、個人差を踏まえて可能なものから取り組むことを方向性としており、今より10分多く体を動かす「プラス・テン」を勧めています。通勤や送り迎え、家事で動く時間も身体活動に含まれます。
気分の落ち込みがどのくらい続いたら相談すべきですか?
こころの耳は、憂うつ感や不眠、食欲の低下などが2週間以上続く場合は「うつ」が疑われるとして、精神科や心療内科に早めに相談するよう勧めています。それより短くても、つらければ相談窓口を使ってかまいません。
夜、子どもが寝てからしか自分の時間がありません。
睡眠ガイドのリーフレットは、寝る前や寝床の中でのデジタル機器の使用が夜ふかしや睡眠不足を助長すると説明しています。自分の時間をとるなら画面を見ない過ごし方を選び、睡眠時間は6時間以上を目安に確保してください。
父親でも子育ての悩みを相談できますか?
「親子のための相談LINE」は、こどもとその保護者などが対象で、父親も相談できます。市区町村のこども家庭センターも子育て家庭の相談を受けています。働く人とその家族は「こころの耳電話相談」も利用できます。
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この記事を書いた人

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