フラット35の仕組みと金利、子育てプラス

住宅ローン金利の上昇が続くなかで家を買うことになり、「返済額が途中で増えるのは避けたい」と考えて、全期間固定金利のフラット35を調べはじめる家庭は少なくありません。一方で、固定金利は変動金利より高めに設定されるうえ、子どもの人数によって金利が下がる制度もあり、実際にいくらで借りられるのかは条件ごとに違います。
この記事では、住宅金融支援機構(以下、機構)の公表情報をもとに、フラット35の仕組み、金利の決まり方、利用条件、子育て世帯向けの金利引下げを2026年10月時点の内容で整理します。
機構と民間金融機関が提携する全期間固定金利のローン
フラット35は、民間金融機関と機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。借りるときに返済終了までの金利が確定するため、市場金利が上がっても返済額は増えません。反対に、借りた後に金利が下がっても返済額は減りません。
窓口になるのは銀行などの取扱金融機関ですが、お金の出どころには機構が関わっています。金融機関は住宅ローンを実行した後、その債権を機構に売却します。機構は買い取った債権を担保に資産担保証券(MBS)を発行して投資家から資金を集め、その代金で金融機関に買取代金を支払います。借りた人の返済は引き続き金融機関が受け付け、機構を通じて投資家に支払われます。機構はこの「証券化」の仕組みで、民間金融機関でも長期・固定金利の住宅ローンを扱えるようにしています。
商品としての特徴は、保証人が要らないこと、保証料と繰上返済手数料がかからないことです。一部繰上返済は、機構のインターネットサービス「住・MyNote」から申し込めば10万円以上、金融機関の窓口なら100万円以上からできます。返済方法は元利均等返済と元金均等返済から選べます。
金利はどう決まるのか
フラット35の金利は、機構ではなく各取扱金融機関が決めています。同じフラット35でも、金融機関によって金利と融資手数料が違います。機構は毎月、取扱金融機関が提供する金利の範囲と、最も多い金利(最頻金利)を公表しています。
2026年10月の最頻金利は、融資率9割以下・新機構団信付きで、借入期間21年以上35年以下が年3.83%、20年以下(フラット20)が年3.51%でした。借入期間(20年以下か21年以上か)、融資率(9割以下か9割超か)、加入する団体信用生命保険の種類などによって金利は変わります。融資率は、住宅の建設費または購入価額に対する借入額の割合です。
金利水準の動きには長期金利が影響します。機構は、全期間固定金利型の金利は10年物国債の利回りに影響を受けるとしています。日銀の政策金利の影響を受ける変動金利型とは、もとになる金利が違います。
適用されるのは、申し込んだときではなく資金を受け取るときの金利です。新築マンションのように申し込みから引き渡しまで期間が空く場合は、その間に金利が動く前提で資金計画を立てておくと安心です。
借りられる人と住宅の条件
申し込めるのは、申込時の年齢が満70歳未満で、日本国籍の人、永住許可を受けている人または特別永住者です。収入面の基準は総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)で、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下が条件です。ここでの返済額には、フラット35だけでなく自動車ローン、教育ローン、カードローンなど、ほかの借入れの返済も含まれます。夫婦の収入を合算して申し込むこともでき、申し込めるのは連帯債務者を含めて2名までです。
借入額は100万円以上1億2,000万円以下で、建設費または購入価額以内です。借入期間は15年(申込者または連帯債務者が満60歳以上なら10年)以上で、「80歳-申込時の年齢」と35年のうち短いほうが上限になります。たとえば申込時に45歳なら、上限は35年です。
対象になる住宅にも条件があります。機構が定めた技術基準に適合し、床面積が一戸建てなどで50㎡以上、マンションなどの共同建てで30㎡以上であることが必要です。技術基準への適合は物件検査で確認し、その手数料は借りる人の負担になります。返済が終わるまで火災保険への加入も求められます。本人または親族が住むための住宅が対象で、第三者に貸す投資用物件には使えません。
子育てプラスとポイント制の金利引下げ
フラット35には、条件に応じて当初の一定期間、金利を下げる制度があります。2024年2月13日以降の資金受取分からはポイント制になり、家族構成、住宅性能、維持管理、地域連携の4つの分野のメニューを組み合わせて、獲得したポイント数に応じて金利が下がります。1ポイントにつき当初5年間、年0.25%の引下げです。
家族構成の分野にあたるのが「フラット35子育てプラス」です。対象は、借入申込年度の4月1日時点で18歳未満の子どもがいる子育て世帯(胎児を含む)と、夫婦のいずれかが同じ時点で40歳未満の若年夫婦世帯です。若年夫婦世帯または子ども1人なら当初5年間年0.25%、2人なら年0.5%、3人なら年0.75%というように、子どもの人数に応じてポイントが加算されます。借換融資やペアローンでも利用できます。
住宅性能の分野では、省エネルギー性や耐震性などに優れた住宅を対象にした「フラット35S」があり、ZEHなら当初5年間年0.75%、金利Aプランなら年0.5%、金利Bプランなら年0.25%下がります。フラット35Sは借換融資には使えません。ほかに、中古住宅向けの「中古プラス」「リノベ」、長期優良住宅などを対象にした「維持保全型」、地方公共団体の補助とあわせて使う「地域連携型」があります。子育てプラスを使わない場合、ポイントの上限は4ポイント(当初5年間年1.0%)です。
子育てプラスやフラット35Sには予算があり、予算金額に達する見込みになると受付が終了します。土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内などで新築住宅を建てる・買う場合は使えません。
2026年10月の金利で返済額を試算する
2026年10月の最頻金利(年3.83%)で3,000万円を35年、元利均等返済・ボーナス返済なしで借りた場合を、子育てプラスの有無で計算しました。金利引下げ後の金利も年3.83%を基準にした計算で、実際の金利は金融機関や資金受取の時期によって変わります。
| 当初5年間の毎月返済額 | 6年目以降の毎月返済額 | 総返済額 | |
|---|---|---|---|
| 引下げなし(年3.83%) | 12万9,791円 | 12万9,791円 | 約5,451万円 |
| 子ども1人(当初5年間 年3.58%) | 12万5,382円 | 12万9,292円 | 約5,407万円 |
| 子ども2人(当初5年間 年3.33%) | 12万1,050円 | 12万8,776円 | 約5,362万円 |
子ども2人の場合、当初5年間の返済額は月8,700円ほど少なくなり、総返済額は約89万円減ります。6年目以降は元の金利に戻りますが、当初5年間に元金が多めに減っているため、返済額は引下げなしの場合よりわずかに少なくなります。
総返済負担率もあわせて確かめておきます。引下げなしの年間返済額は約156万円で、年収500万円なら約31%です。基準の35%以下に収まりますが、車のローンなどがあればその返済額も足して計算します。
団体信用生命保険と借りた後のこと
団体信用生命保険(団信)は、借りた人に万一のことがあったとき、保険金で残りのローンが返済される保険です。フラット35では団信への加入は任意で、健康上の理由などで加入しない場合も利用できます。2017年10月1日以降の申込分からは、団信の保険料は別払いではなく、毎月の返済額に組み込まれる形になりました。機構が公表している最頻金利は新機構団信付きの金利で、加入する団信の種類によって借入金利は変わります。
借入時の諸費用として、融資手数料のほか、物件検査手数料、抵当権の設定費用(登録免許税、司法書士報酬など)、火災保険料がかかります。保証料はかかりませんが、融資手数料は金融機関ごとに違うため、金利と手数料をあわせて比べると総額の差がわかります。
フラット35を含めた金利タイプの違いや、変動金利型との比べ方は、こちらの記事で解説しています。
出典
- 【フラット35】(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/index.html
- 【フラット35】ご利用条件(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html
- 長期固定金利住宅ローン【フラット35】トップページ(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/index.html
- 【フラット35】金利情報(住宅金融支援機構)https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
- 証券化支援業務(買取型)の概要(住宅金融支援機構)https://www.jhf.go.jp/about/financial/join/outline_kaitori.html
- "金利のある世界"でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/lp/kinri/index.html
- 【フラット35】子育てプラス(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35kosodate-plus/index.html
- 子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラス 2024年2月13日スタート!(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/topics/20231110.html
- 【フラット35】S(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35s/index.html
- 団体信用生命保険(団体信用生命保険制度のご案内)(住宅金融支援機構)https://www.flat35.com/danshin_menu/index.html
よくある質問
- フラット35は団体信用生命保険に入らないと借りられませんか?
- 借りられます。フラット35は健康上の理由などで団信に加入しない場合も利用できます。加入する場合、2017年10月1日以降の申込分は保険料が毎月の返済額に組み込まれます。
- 金利は申し込んだ時点で決まりますか?
- 決まりません。資金を受け取る時点の金利が適用されます。金利は金融機関ごとに毎月決まり、機構は毎月の最頻金利を公表しています。
- 子育てプラスの「子ども」には、おなかの中の子も含まれますか?
- 含まれます。借入申込年度の4月1日時点で18歳未満の子どもが対象で、胎児も数えます。子どもがいなくても、夫婦のいずれかが40歳未満なら若年夫婦世帯として当初5年間年0.25%の引下げを受けられます。
- 繰上返済に手数料はかかりますか?
- かかりません。一部繰上返済は「住・MyNote」から申し込めば10万円以上、金融機関の窓口なら100万円以上から行えます。
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カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。
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