妊婦のRSワクチンは28週から打てます

子どもの健康memStock編集部(更新: 2026年10月22日)
妊婦のRSワクチンは28週から打てます

妊婦のRSウイルスワクチンは妊娠中の母親が接種し、体内でできた抗体を胎盤を通じて赤ちゃんに移す「母子免疫ワクチン」です。2026年度から予防接種法に基づく定期接種になり、接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦が、この期間に1回受けられます。費用と手続きは住民票のある市区町村ごとに違います。

母子免疫ワクチンは赤ちゃんではなく妊婦が打つ

打つのは妊婦で、守る相手は生まれてくる赤ちゃんです。厚生労働省は仕組みを「母体内で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し」と説明しています。

RSウイルスワクチンのうちGSK社のアレックスビーについて、厚生労働省は「アレックスビー®(GSK社)は母子免疫ワクチンとして用いることはできません」と明記しています。医療機関の案内でこの製品名を見かけたら、妊婦向けの接種に使うものではない点を覚えておきます。

2026年4月から定期接種、対象は妊娠28週0日〜36週6日

接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦が、この間に1回受けられます。厚生労働省は2026年度から、妊婦へのRSウイルスワクチンを予防接種法に基づく定期接種の対象にしました。

「28〜36週」と丸めて覚えると、36週のどの日まで打てるのかがあいまいになります。36週6日を過ぎると定期接種の対象から外れるので、週数は日まで確かめておきます。

接種時点の妊娠週数 定期接種の可否 費用 備考
27週6日まで 対象外 住民票のある自治体に確認 28週0日になるのを待つ
28週0日〜36週6日 対象(この間に1回) 自治体ごとに異なる。目黒区は全額公費負担(2026年9月時点) 38週6日までに出産予定なら医師に相談
37週0日以降 対象外 住民票のある自治体に確認 ―

国の審議会では、2025年11月19日の第72回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で「小児におけるRSウイルス感染症に対する予防について」が議題になりました。自治体の例では、目黒区が2026年4月1日に妊婦向けの定期接種を始めています。

ワクチンが定期接種に加わるまでの手順は、おたふくかぜワクチンを例にした記事で追えます。

出産予定日から逆算する接種のタイミング

出産予定日が近い時期の接種は、医師と相談して日を決めます。厚生労働省は、接種後14日以内に生まれた赤ちゃんでは「有効性は確立していない」とし、妊娠38週6日までに出産予定の場合は医師に相談するよう案内しています。

36週6日に打った場合、14日たつと38週6日です。予定日が早めの人や、早産の可能性を指摘されている人は、28週0日から36週6日のどの日に打つかを主治医と決めることになります。何週に打つのがいちばんよいかは個々の妊娠経過によるため、この記事からは言えません。

RSウイルスがはやる季節に合わせて打つべきかという疑問もあります。日本産婦人科医会は2026年3月20日付のQ&Aで「RSウイルス妊婦ワクチンは、通年で定期接種することが勧められます」としています。同じQ&Aによると、2025年11月時点で欧米の多くは流行期前の季節接種、イギリスやオーストラリアなどは通年の定期接種でした。

ほかのワクチンと同じ日に打てるかについては、厚生労働省のQ&Aに「医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます」とあります。

費用と手続き、里帰り出産のとき

費用と実施期間は自治体ごとに違い、全国一律の金額はありません。里帰り出産で住民票と違う地域で打つときは、接種より前に手続きが要る場合があります。厚生労働省のQ&Aは「自治体によって実施期間や費用は異なります」としています。

目黒区のページ(2026年9月24日更新)では、妊娠ごとに1回、全額公費負担で無料です。同じページは、2026年4月1日より前の接種を任意接種として全額自己負担と書いています。

区分 接種した日 費用(目黒区の例)
任意接種 2026年4月1日より前 全額自己負担
定期接種 2026年4月1日から 妊娠ごとに1回、無料(全額公費負担)

体験談などで「保険が使えない」「自費だった」とあるときは、その人が打った日が2026年4月1日の前か後かを見ておくと、今の制度と混ざりません。

目黒区は23区外の里帰り先などで接種する区民に向けて、「接種の2週間前までに定期予防接種依頼書の交付申請を行い」と案内しています。手続きは自治体ごとに違うので、里帰りを決めた時点で住民票のある市区町村のページを確かめておきます。

出産前後のお金の制度がいつ変わるかは、別の記事で整理しています。

効果と副反応、打てない人

厚生労働省が掲載している有効性は、日齢0〜90日の赤ちゃんで、医療機関の受診が必要な下気道感染症を6割程度、重症の下気道感染症を約8割防ぐという値です。主な副反応は厚生労働省によると「接種部位の症状(疼痛、腫脹、紅斑)、頭痛、筋肉痛」で、接種液の成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人は接種できません。発熱している人、重い急性の病気にかかっている人、医師が接種に向かないと判断した人も、その日は受けられません。

評価項目 赤ちゃんの日齢 予防効果(厚生労働省掲載)
医療受診を要する下気道感染症 0〜90日 6割程度
重症下気道感染症 0〜90日 約8割
重症下気道感染症 0〜180日 約7割

この値のもとになった試験の対象は妊娠24〜36週の妊婦で、日本の定期接種の28週0日〜36週6日とは範囲が少し違います。

早産について、国立感染症研究所のファクトシート(2025年10月22日)は国際共同試験の早産率をワクチン群5.7%、プラセボ群4.7%と紹介しています。この差は統計学的に有意ではありませんでした。因果関係をどちらにも断定できる数字ではないため、持病や妊娠経過を含めて主治医と相談します。

打てなかったときの赤ちゃんの守り方

打てなかったときの赤ちゃん側の予防は、妊婦健診や出産後の小児科で相談します。国立感染症研究所は母子免疫ワクチンと抗体製剤を並べたファクトシートを出していますが、抗体製剤が赤ちゃんの予防にどう使えるか、対象や費用は今回確認した資料の範囲では整理できていません【未確認】。どちらが向くか、両方が要るかは記事で判断しません。

こども家庭庁の保育所向けガイドライン(2023年10月10日)は、RSウイルス感染症の感染しやすい期間を「呼吸器症状のある間」とし、登園のめやすを「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」としています。

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱は、自治体の案内でも急いで受診する目安に入っています。長野市は「生後3か月未満の乳児が熱(38℃以上)を出した」場合を挙げています。夜間や休日に迷ったときは、小児科医師・看護師に相談できる子ども医療電話相談が使えます。

夜中の発熱で受診するかどうかの見分け方は、同じ日に公開した記事にまとめています。

いま妊娠20週台なら、28週0日になる日と36週6日になる日をカレンダーに書き込み、その間にある健診のどこで打つかを次の健診で主治医に聞いてみてください。

出典

すべて2026-10-15に確認。

よくある質問

妊婦のRSウイルスワクチンはいつから打てますか?
接種時点で妊娠28週0日になった日から、36週6日までの間に1回受けられます。2026年度から予防接種法に基づく定期接種です。出産予定が38週6日までの場合は、厚生労働省が医師への相談を案内しています。
妊婦がRSウイルスワクチンを打つと副作用はありますか?
厚生労働省は主な副反応として、接種部位の痛み・はれ・赤み、頭痛、筋肉痛を挙げています。接種液の成分でアナフィラキシーを起こしたことがある人は接種できません。早産率は国際共同試験でワクチン群5.7%、プラセボ群4.7%で、統計学的に有意な差ではありませんでした。
RSウイルスのワクチンは自費ですか?
2026年4月1日からは定期接種で、費用は自治体ごとに異なります。目黒区では妊娠ごとに1回、全額公費負担で無料です。同じ目黒区では、2026年4月1日より前の接種は任意接種で全額自己負担でした。
妊娠後期に打つと赤ちゃんにどんな効果がありますか?
妊婦の体でできた抗体が胎盤を通って赤ちゃんに移ります。厚生労働省の掲載値では、日齢0〜90日の医療受診を要する下気道感染症を6割程度、重症の下気道感染症を約8割予防します。接種後14日以内に生まれた赤ちゃんでは、有効性が確立していません。

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