子連れ再婚の養子縁組、共同親権の家庭は15歳未満なら父母2人で承諾します

入籍の日取りが決まり、役所で婚姻届の用紙をもらってきた夜。子どもが寝たあと、再婚相手と「養子縁組の届も一緒に出す?」という話になる家庭があります。調べ始めると「共同親権」「元配偶者の同意」といった言葉が目に入り、自分たちにも関係があるのか分からなくなることもあるでしょう。
2026年4月1日に改正民法が施行され、離婚後も父母の両方が親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました。それにあわせて、再婚相手と子どもの養子縁組(いわゆる連れ子養子)のルールも一部が見直されています。ただし、手続きの変更は主に共同親権の家庭に関わるもので、改正前に離婚して単独親権になっている家庭は、これまでとほぼ同じ手続きで縁組できます。
再婚の前に、いまの親権が単独か共同かを確かめます
厚生労働省の人口動態統計によると、2025年の婚姻件数は48万9,158組(確定数)でした。概数の集計では、婚姻のうち夫の17.5%、妻の15.4%が再婚です。
連れ子養子の手続きは、再婚する実親がいま「単独親権」か「共同親権」かで分かれます。離婚後の共同親権は2026年4月1日に始まった制度なので、共同親権の家庭は、施行日以降に離婚して共同親権を選んだ家庭か、施行後に家庭裁判所の手続きで共同親権に変更された家庭に限られます。
改正前に離婚して単独親権と定めた家庭が、施行によって自動的に共同親権に変わることはありません。法務省のパンフレットにも、そのように明記されています。まずは離婚した時期と、離婚届や調停などで親権をどう定めたかを思い出してみると、自分たちに関係するルールがどちらなのかが分かります。
単独親権なら、連れ子養子の手続きはこれまでどおりです
未成年の子を養子にするには、原則として家庭裁判所の許可が必要です。ただし、配偶者の子(法律上は「配偶者の直系卑属」)を養子にする場合は許可が要りません(民法798条)。再婚相手が子どもと縁組するときは、市区町村に養子縁組届を出せば縁組が成立します。必要な書類などは、届け出る市区町村の窓口で確認できます。
子どもが15歳未満なら、子どもに代わって親権者が縁組を承諾します。これを「代諾」といいます。単独親権の場合は、親権者である実親が1人で代諾します。元配偶者が親権者とは別に「監護者」に定められているような場合は、その同意が必要になります(民法797条2項)。
縁組が成立すると、子どもの親権者は再婚相手(養親)と実親の2人になります。改正では、この点が条文で明確にされました(民法818条3項)。なお、縁組をすると子どもは養親の名字を名乗ることになります。
共同親権なら、15歳未満の子は父母2人で代諾します
共同親権の家庭では、15歳未満の子の縁組を「父母が共同で代諾する必要がある」と、法務省の解説資料(Q&A形式の解説資料・民法編)に書かれています。縁組の判断は、共同親権でも片方の親が1人で決められる「日常の行為」には当たらないとされています。そのため、再婚する実親だけでなく元配偶者も、子どもに代わって承諾する側に加わります。
| 単独親権の家庭 | 共同親権の家庭 | |
|---|---|---|
| 家庭裁判所の許可 | 不要 | 不要 |
| 15歳未満の子の代諾 | 親権者の実親が1人で | 実親2人が共同で |
| 意見が合わないとき | (元配偶者は代諾に加わらない) | 家庭裁判所に親権行使者の指定を申し立てられる |
| 15歳以上の子 | 子ども本人が承諾 | 子ども本人が承諾 |
| 縁組後の親権者 | 再婚相手と実親 | 再婚相手と実親 |
元配偶者が縁組に賛成しないときは、家庭裁判所に「親権行使者の指定」を申し立てる方法があります。指定されれば、その親が1人で代諾できます。調停で話がまとまらなければ、審判に移ります。費用は収入印紙1,200円(子ども1人につき)と、裁判所ごとに異なる郵便切手です。
ただし、家庭裁判所が縁組の代諾について親権行使者を指定できるのは、縁組をすることが「子の利益のため特に必要であると認めるときに限り」とされています(民法797条4項)。申し立てれば必ず指定されるわけではなく、反対があれば縁組できないと決まっているわけでもありません。どのくらい認められているかを示す公表データはなく、結論は家庭裁判所の個別の判断によります。
共同親権の家庭でも、元配偶者と落ち着いて話せる関係とは限りません。民法は、裁判所が親権者を定めたり変更したりするとき、暴力などのおそれがあって父母が共同で親権を行うのが難しいと認められる場合は、一方を親権者と定めなければならないとしています(819条7項)。直接のやりとりが難しい事情があるときは、家庭裁判所の手続き案内や法テラス、DV相談ナビ(#8008)などに相談する道もあります。
縁組のあとも、元配偶者と子どもの親子関係は続きます
共同親権の家庭で縁組が成立すると、親権者は再婚相手と実親の2人になり、元配偶者は親権を失います。法務省のパンフレットは、離婚後に共同親権を定めていても、縁組によって他方の親権者は親権を失うと説明しています。
一方で、元配偶者が失うのは親権であり、親子関係ではありません。再婚相手との縁組は「普通養子縁組」で、実親との親子関係は終わらず、扶養義務や相続の関係も続きます。親子交流(面会など)について、法務省のパンフレット「未成年者を養子とすることをお考えの方へ」は、縁組前の実父母間の取決めが「養子縁組によってその取決めが当然に無効となるわけではありません」としています。そのうえで、必要に応じて養親や実親の間で話し合うよう勧めています。
養育費の扱いについては、法務省の改正法の資料に、縁組による影響を説明した記載は見当たりません。裁判所の案内には、取決め後に「再婚などの事情の変更があった場合は、増額や減額を求めることができます」とあります。縁組によって自動的に金額が変わるわけではなく、見直すとすれば当事者どうしの協議か、家庭裁判所の手続きになります。
養子縁組をしないという選び方もあります
再婚したら養子縁組をしなければならない、という決まりはありません。縁組は当事者の合意と届出で成立する制度で、しないことも一つの選択です。縁組をしない場合、再婚相手は子どもの法律上の親ではなく、親権もありません。子どもの法定代理人は、これまでどおり実親です。
縁組の仕組みは、法律上の婚姻を前提にしています。事実婚や同性パートナーの場合は、家庭裁判所の許可が必要になるなど、手続きや親権の扱いが異なります。検討するときは、家庭裁判所の手続き案内や専門家に確かめてみてください。
子どもが15歳以上なら、代諾ではなく子ども本人が縁組を承諾します。15歳未満の場合も、同じパンフレットは、年齢や発達状況に応じてできるかぎり本人の意見を聞き、尊重することが望ましい場合もあるとしています。名字が変わること、再婚相手をどう呼ぶか、元配偶者との交流をどうしていくか。子どもがどう受け止めるかは、子ども本人に聞いてみないと分かりません。
離婚した時期と親権の定め方が分かれば、当てはまるルールは決まります。そのうえで、縁組をするか、するならいつにするかを、再婚相手と、そして子ども本人と少しずつ話していく。届を出す日は、その話し合いのあとに決められます。個別の事情で判断に迷うときは、家庭裁判所の手続き案内や弁護士などの専門家に相談してください。
記事中の制度情報は2026年10月4日時点のものです。
出典
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html (2026年10月4日確認)
- 法務省ほか関係府省庁等連絡会議「Q&A形式の解説資料(民法編)」(令和8年4月22日改訂版)https://www.moj.go.jp/content/001462991.pdf (2026年10月4日確認)
- 法務省パンフレット「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂)https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf (2026年10月4日確認)
- 法務省パンフレット「未成年者を養子とすることをお考えの方へ」https://www.moj.go.jp/content/001399951.pdf (2026年10月4日確認)
- 法務省「養子縁組について知ろう」https://www.moj.go.jp/MINJI/kazoku/youshi.html (2026年10月4日確認)
- e-Gov法令検索「民法」(797条、798条、818条、819条、824条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (2026年10月4日確認)
- 裁判所「親権行使者の指定調停」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_14/index.html (2026年10月4日確認)
- 裁判所「養子縁組許可」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_08/index.html (2026年10月4日確認)
- 裁判所「養育費に関する手続」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/youikuhi-tetsuzuki/index.html (2026年10月4日確認)
- 裁判所「家事事件Q&A」https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html (2026年10月4日確認)
- 裁判所「離婚と子どもをめぐる新しいルールについて」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_kaisei/index.html (2026年10月4日確認)
- 厚生労働省「令和7年人口動態統計(確定数)の概況」(2026年9月30日公表)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei25/dl/05_gaikyouR07.pdf (2026年10月4日確認)
- 厚生労働省「令和7年人口動態統計月報年計(概数)結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai25/dl/kekka.pdf (2026年10月4日確認)
- 法テラス(日本司法支援センター)https://www.houterasu.or.jp/ (2026年10月4日確認)
- 内閣府男女共同参画局「DV相談ナビ #8008」ほか相談機関一覧 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html (2026年10月4日確認)
よくある質問
- 2026年4月より前に離婚しました。養子縁組に元配偶者の承諾は要りますか?
- 改正前の離婚では親権は単独親権と定められており、施行によって自動的に共同親権に変わることはありません。子どもが15歳未満なら、親権者である実親が1人で代諾します。ただし、施行後に家庭裁判所で共同親権に変更された場合や、元配偶者が監護者に定められている場合などは扱いが異なります。
- 共同親権で、元配偶者が縁組に賛成しないときは縁組できませんか?
- 家庭裁判所に、縁組の代諾について親権行使者の指定を申し立てる方法があります。指定は縁組をすることが「子の利益のため特に必要であると認めるときに限り」とされており、認められるかどうかは家庭裁判所の個別の判断によります。
- 養子縁組をしたら、元配偶者と子どもは会えなくなりますか?
- 縁組をしても、元配偶者と子どもの親子関係は続きます。法務省のパンフレット「未成年者を養子とすることをお考えの方へ」は、親子交流の取決めが縁組によって「当然に無効となるわけではありません」としています。
- 養子縁組をすると、元配偶者からの養育費は止まりますか?
- 縁組によって養育費が自動的に止まる、と説明した法務省の資料はありません。裁判所の案内では、再婚などの事情の変更があれば増額や減額を求めることができるとされており、見直す場合は当事者の協議か家庭裁判所の手続きになります。
- 子どもが15歳以上の場合はどうなりますか?
- 15歳以上の子どもは、親権者が代わりに承諾するのではなく、本人が縁組を承諾します。
memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。
関連記事
生活/暮らし結婚で名字が変わったら、マイナンバーカードが先、免許はあと
結婚で名字が変わったら、14日以内に市区町村でマイナンバーカードを書き換えると、免許証の手続きが軽くなります。旧姓は住民票・マイナンバーカード・運転免許証・パスポートに併記でき、2025年12月10日から戸籍謄本の持参は原則不要です。
生活/暮らし子どものSNS、国は年齢の一律制限を提案していません
こども家庭庁のWGが7月に公表した中間整理は、SNSの年齢による一律制限を提案せず、各社に最低利用年齢とその理由などの公表を求める方向を示しました。最終報告は12月が目途で、X・TikTok・YouTube・Instagramの規約上の年齢は13歳以上です。
生活/暮らし東京の待機児童は前年の3倍超に — 2027年4月入園の保活
令和8年4月1日の待機児童は2,435人で9年ぶりに増え、東京都は1,113人と前年の3倍を超えました(暫定値)。2025年4月からは育休給付の延長に入園申込書の写しが必要になり、国の「保活ワンポータル」では参加自治体で見学予約ができます。
生活/暮らし子どものインフルエンザ予防接種、1回目はいつまでに?
12月中旬までに打ち終えるには、13歳未満の注射は2回を4週間あけるため、1回目は11月中旬ごろになる計算です。今年は8月に流行入りしました。2歳以上19歳未満は1回で済む経鼻ワクチン、市区町村の助成も家族単位で整理します。