ボタン電池、飲んだか不明ならどうする?

防災・家庭の安全memStock編集部
ボタン電池、飲んだか不明ならどうする?

ボタン電池の誤飲が疑われる子どもは、吐かせず、何も飲ませず、そのまま医療機関へ連れて行きます。症状が出ていなくても、本当に飲んだのか分からなくても受診します。病院ではX線検査(レントゲン)で、電池が体の中にあるかどうかと、どこに止まっているかを確かめられます。

飲んだ疑いの時点でやること

吐かせない、何も飲ませない、急いで病院へ行く。この順で動きます。消費者庁の「子どもの事故防止調査」報告書(2018年3月)は、ボタン電池を飲んだときの正しい対応として「何も飲ませず、吐かせないで至急病院へ行く」を示しています。

国民生活センターも2024年7月31日の注意喚起で「ボタン電池の誤飲が疑われる場合は速やかに医療機関を受診しましょう」と呼びかけました。対象は「飲んだ場合」に限らず「疑われる場合」です。口に入れるところを見ていなくても、電池が1個足りない、電池ぶたが開いている、と気づいた時点で出かけてかまいません。

電池工業会の分類では、表示がLRならアルカリボタン電池、CRやBRならコイン形のリチウム電池です。型番が分からなくても、受診を遅らせる理由にはなりません。

なお「吐かせない」「何も飲ませない」はボタン電池についての対応です。飲み込んだ物によって対応は変わるため、ほかの誤飲にそのまま当てはめないでください。

症状がなくても受診する理由

電池が体の中で放電し、食道や胃を傷めるおそれがあるからです。国民生活センターの報告書は、「電池の放電により作り出されるアルカリによって、食道や胃などの消化管を損傷」すると説明しています。アルカリによる化学やけどです。

時間の短さについて、NITE(製品評価技術基盤機構)は「リチウム電池は飲み込んでから30分から1時間という短い時間で消化管の壁に潰瘍を作ってしまいます」と書いています。この時間は「それまでは大丈夫」という猶予ではありません。疑った時点で動く理由として読んでください。

受診した子どもの記録も残っています。国民生活センターによると、医療機関ネットワークには2019年度以降、14歳以下の子どものボタン電池の誤飲が72件、誤飲の疑いを含めると120件報告されました(2024年5月31日までの伝送分)。120件のうち、全身麻酔下での手術などで電池を取り出した事故は少なくとも33件ありました。

医療機関ネットワークは、事故で参画医療機関を受診した患者の情報を集める消費者庁の取り組みで、2026年10月時点の参画は28機関です。全国の事故の総数や、起きる割合を表す数字ではありません。年齢については、消費者庁の過去の集計で2010年4月〜2014年3月の93件のうち1歳児が54件、約58%だったとされています。

事故の件数がどの範囲で数えられているかは、保育の事故統計を扱った記事でも整理しています。

飲んだか分からないときは

分からないときも受診します。国民生活センターの報告書は、飲んだかどうかはっきりしない場合でも早めに受診するよう勧め、「医療機関では、X線検査でボタン電池の有無や、電池の停滞部位を確認することができます」と書いています。

家庭で迷いやすいのは、リモコンのふたが外れて電池が1個見当たらない、床に電池の包装が落ちている、といった場面です。こうした場面でも受診します。探すのは家に残る大人に任せ、見つかったら受診先へ連絡すれば足ります。

子どもが「飲んでない」と言っても、それだけで決めないでください。

夜間・休日はどこに相談する

受診先が決まらないときや、救急車を呼ぶか迷うときは次の窓口に相談できます。相談は受診の代わりではなく、病院へ向かう道筋を決めるための手段です。

相談先(2026年10月時点) こんなとき 受付
中毒110番・一般専用(日本中毒情報センター) 誤飲が起き、受診や応急対応を相談したい 365日24時間、情報提供料は無料
救急安心センター事業 救急車を呼ぶか、すぐ受診するか迷う 実施していない地域がある
子ども医療電話相談 休日・夜間に、受診するかや対処に迷う 実施時間は都道府県ごとに異なる

ボタン電池の場合、受診するかどうかの答えはすでに「受診する」です。相談で聞きたいのは、今の時間に診てもらえる医療機関と、そこへ向かう手段のほうになります。救急安心センター事業は未実施の地域があるため、住んでいる地域が対象かを公式の一覧で先に見ておくと、夜中に迷わずに済みます。

子ども医療電話相談と救急安心センター事業の使い分けは、夜間の発熱を例にした記事で詳しく扱っています。

家の中でコイン電池が入っている物

誤飲事故に関係した機器の上位は、玩具、本体に入っていない電池、キッチンタイマーでした。国民生活センターの報告書では、本体に入っていない電池に電池単体やパッケージに入った状態も含めています。ほかに体温計、リモコン、ペンライト、補聴器、時計、光る耳かきの事例も載っています。

製品 報告書での位置 家で見るところ
玩具 上位 電池ぶたがねじで留まっているか。STマークがあるか
本体に入っていない電池(単体・包装入り) 上位 買い置きと、交換で外した電池の置き場所
キッチンタイマー 上位 子どもの手が届く高さに付けていないか
体温計・リモコン・時計 事例あり ふたのツメが欠けていないか、手で開かないか
ペンライト・光る耳かき・補聴器 事例あり 使い終わった後に置く場所

点検では、工具なしで電池ぶたが開かない構造かを確認します。開いてしまう物は、子どもの手の届かない場所へ移します。

報告書が本体に入っていない電池を上位に挙げているとおり、機器から出た電池も誤飲の対象です。

公的機関が求めている製品側の対策

電池には誤飲防止パッケージ、玩具には工具なしでは電池を外せない構造という形で、対策が進んでいます。電池工業会は2018年に、コイン形リチウム電池へ誤飲防止パッケージを導入したと公表しています。

玩具ではSTマーク付きの商品が選ぶときの目安になると、国民生活センターは書いています。STマークの基準は、電池の収納部を「工具等を用いなければ電池が取り外せない構造」にすることや、独立した2つの動作を同時にしないと開かない構造にすることを例に挙げています。

おもちゃの表示やSTマークの読み方は、ボードゲームの対象年齢を扱った記事にもまとめています。

家の中の事故では、浴槽に残したお湯も小さな子のいる家で見直す対象になります。

今夜、リモコンとキッチンタイマーのふたを指で押してみて、開いてしまう物があれば、子どもの手が届かない棚へ移しておきます。

出典

各資料は2026-10-22に確認。

よくある質問

ボタン電池を飲んでも、症状がなければ様子を見ていい?
ボタン電池を飲んだ疑いがあれば、症状がなくても様子は見ずに受診します。国民生活センターは、ボタン電池の誤飲が疑われる場合は速やかに医療機関を受診するよう呼びかけています。電池は放電で生じるアルカリで食道や胃を傷めるおそれがあり、症状が出るのを待つ理由はありません。
ボタン電池を飲んだかどうか分からないときは?
ボタン電池を飲んだかどうか分からないときも、早めに受診します。医療機関ではX線検査で、電池があるかどうかと止まっている場所を確認できます。見当たらない電池の数や型番が分かれば、受診先で伝えます。
病院へ行く前に、家で何か飲ませてもいい?
病院へ行く前でも、家では何も飲ませません。消費者庁の調査報告書は「何も飲ませず、吐かせないで至急病院へ行く」を正しい対応としています。家での処置は足さず、そのまま受診します。
ボタン電池の誤飲ではどんな治療になる?
ボタン電池の誤飲では、全身麻酔下での手術などで電池を取り出す治療になった事故もあります。医療機関ネットワークに寄せられた疑いを含む120件のうち、こうした事故が少なくとも33件ありました(2024年5月31日までの伝送分)。具体的な処置は受診先の説明に従います。

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