iDeCoの限度額引き上げはいつから? 12月分から月6.2万円、掛金の増額手続きまで

お金の話memStock編集部(更新: 2026年10月11日)
iDeCoの限度額引き上げはいつから? 12月分から月6.2万円、掛金の増額手続きまで

10月23日には、iDeCoの払込証明書のハガキが発送される予定です。今年はそれより先に、加入している金融機関から「掛金額変更」の案内を受け取った人もいるでしょう。夫婦で封筒を開けると、「上限が上がるなら、うちも増やしたほうがいいの?」「いつから、どうやって変えるの?」という話になります。

先に答えを書いておきます。iDeCo(イデコ)の限度額は、2026年12月分の掛金(2027年1月26日引き落とし分)から引き上げられます。企業年金のない会社員なら月2.3万円から6.2万円へ。ただし、いま払っている掛金は何もしなければそのままで、増やすには自分で掛金額の変更を届け出ます。12月分から増やす方法は、書面の事前受付(auのiDeCoやりそな銀行は10月30日必着)か、12月1日から24日までのe-iDeCoです。間に合わなければ、2027年1月分以降の掛金を通常の変更届で増やせます。

厚生労働省と国民年金基金連合会(iDeCoの実施主体)の資料、国税庁の説明をもとに、上限の変わり方と手続きの順番を整理しました。

iDeCoの限度額は、いつからいくらに上がるのか

新しい上限が適用されるのは、2026年12月分の掛金からです。掛金は翌月26日に引き落とされるため、口座から出ていく額は2027年1月26日から変わります。2026年12月の引き落とし(11月分)は、これまでの額のままです。区分ごとの月額は次のとおりです。

働き方 2026年11月分まで 2026年12月分から
会社員(企業年金なし) 2.3万円 6.2万円
会社員(企業型DC・DBなどあり) 2.0万円 6.2万円から会社の掛金を引いた額
国家・地方公務員 2.0万円 5.4万円
自営業・フリーランスなど 6.8万円(国民年金基金等と合算) 7.5万円(同)
専業主婦・主夫(第3号被保険者) 2.3万円 2.3万円(変更なし)

企業年金のない会社員は、上限が約2.7倍になります。厚生労働省の図解では「3.9万円増額」と表記されています。約2.7倍はこの区分に限った数字で、ほかの働き方には当てはまりません。

企業型DCやDB(確定給付企業年金)がある会社員は、これまでの「iDeCoは2.0万円まで」という頭打ちがなくなります。新しい上限は、6.2万円から企業型DCの会社掛金と、DBなどの「他制度掛金相当額」を引いた額です。厚生労働省はこの区分を「最大4.2万円増額」と表しており、実際の上限は勤め先の掛金によって一人ひとり違います。

たとえば企業型DCだけに加入していて、会社の掛金が月2万円なら、iDeCoは月4.2万円まで出せます。DBにも加入している場合は、そこからさらに他制度掛金相当額を引きます。公務員の5.4万円は、6.2万円から共済の掛金相当額を引いた額です。

会社の掛金は、企業型DCの加入者向けWebサイトで確認できます。ただし勤め先が12月に合わせて会社掛金を引き上げることもあるため、りそな銀行は12月時点の額を勤め先に確かめるよう案内しています。DBだけがある人や公務員も、勤め先の人事・総務に尋ねる形になります。iDeCoの掛金は5,000円以上・1,000円単位なので、引き算の結果が5,000円未満だと掛金を出せません。

iDeCoの掛金を増額する手続きと締め切り

上限が上がっても、掛金は自動では増えません。連合会の案内も、掛金額の変更を希望する場合は「お手続きが必要」としています。増やしたい月によって、使える方法が変わります。

方法 受付期間 反映される掛金
書面の事前受付 金融機関ごとに設定(auのiDeCo・りそな銀行は2026年9月1日〜10月30日必着) 2026年12月分から
e-iDeCo(オンライン) 2026年12月1日(火)〜12月24日(木) 原則2026年12月分から
通常の変更届(書面・e-iDeCo) 随時 2027年1月分以降

書面の事前受付(12月分から増やす)

加入先の金融機関(運営管理機関)から専用の「加入者掛金額変更届【令和8年12月施行事前受付専用】」を取り寄せ、同じ金融機関に提出します。通常の変更届を出しても、事前受付としては扱われません。連合会の案内は「2026年9月頃からの受付を予定」と書くだけで、締め切りは各金融機関が決めています。auのiDeCoとりそな銀行は10月30日(金)必着です。ほかの金融機関は、自分の加入先の案内で日付を確かめてください。

対象になるのは、12月の改正で上限が上がる区分の人が、旧上限を超える額へ、12月分から増やす場合です。いまの払い方が「毎月定額」であることも条件で、年単位(払う月と金額を指定する方法)で払っている人は加入先に扱いを確認します。

事前受付は、出したあとに取り下げや出し直しができません。りそな銀行の案内では、連合会での可否判定は2027年1月初旬で、結果の連絡はないため、2027年1月26日の引き落とし額で確認します。提出後に転職などで被保険者の区分が変わったり、氏名や住所が変わったりした場合も、届出は無効になるとしています。

e-iDeCo(12月1日から24日まで)

e-iDeCoは、連合会が運営するオンラインの手続きサービスです。2026年12月1日(火)から12月24日(木)までに掛金額を変更すれば、原則として12月分から反映されます。ただし連合会は、ほかの手続きとの兼ね合いで間に合わず、2027年1月分以降の反映になる場合があるとしています。

ログインにはマイナポータルを使うため、マイナンバーカードが必要です。e-iDeCoに対応していない金融機関もあります。初めて使う人は、先に利用申込(アカウント登録)を済ませておきます。りそな銀行によると、利用申込の受付は平日の午前8時から午後11時まで(共済組合員は午後9時まで)で、12月上旬は申込が集中して登録完了まで数日以上かかることがあります。e-iDeCoで手続きした結果は、2027年1月中旬に登録したメールアドレスへ届くと同行は案内しています。

書面の事前受付とe-iDeCoの両方で出すと、重複届出として無効になります。りそな銀行は、12月に出した書面の変更届で掛金額を届け出た場合も、事前受付との重複になると案内しています。どちらか一方にしてください。

通常の変更届(2027年1月分以降)

10月30日を過ぎても、増額の機会がなくなるわけではありません。通常の変更届で、2027年1月分以降の掛金を増やせます。用紙は加入先の金融機関から取り寄せ、同じ金融機関に返送します。e-iDeCoに対応している加入先なら、オンラインでも出せます。

用紙は働き方で違います。会社員・公務員は「加入者登録情報変更届(第2号被保険者用)」、自営業などは「加入者掛金額変更届(第1号被保険者用)」を使います。連合会の記入見本では、基礎年金番号・氏名・住所を書き、会社員用なら届出事項の「掛金額区分・掛金額の変更」に印を付けて、「掛金を毎月定額で納付」を選び、新しい月額を書き込みます。記入要領は連合会のサイトで公開されています。

掛金を給与天引き(事業主払込)で払っている人は、会社の給与計算にも変更が要ります。連合会は事業主向けに、届書の写しを加入者から給与担当へ提出してもらうなどの対応を求めています。勤め先の給与担当にも、変更することを伝えておきます。

増やした掛金は、いまの配分指定の割合で運用商品に割り振られます。増えた分を別の商品に回したい場合は、配分指定の変更も合わせて行います。

iDeCoの掛金変更は「年1回」、12月からの増額は特例で数えません

掛金額の変更は、通常1年に1回までです。ここでいう1年は、12月分から翌年11月分の掛金(引き落としでは1月から12月)の期間を指します。2026年12月分からは、新しい1年に入ります。

今回の引き上げには特例があります。2026年12月1日から2027年11月30日まで(金融機関での受付日が基準)に、旧上限を超える額へ初めて増額する1回は、この回数に数えません。事前受付、通常の変更届、e-iDeCoのどれで出しても対象です。12月に増額したあと、2027年の途中で家計に合わせて掛金を見直す1回が残る形です。

特例の対象になる変更後の掛金は、区分ごとに次のとおりです(連合会の案内、2026年8月)。

区分 特例の対象になる変更後の掛金
会社員(企業年金なし) 24,000円以上62,000円以下
会社員(企業型DC・DBなどあり) 現在の掛金を超え、61,000円以下
国家・地方公務員 21,000円以上54,000円以下
自営業・フリーランスなど(国民年金基金・付加保険料なし) 69,000円以上75,000円以下

旧上限以下での変更や、特例を使ったあとの2回目以降の変更には、通常の年1回ルールが当てはまります。勤め先の企業型DCの掛金が変わったことに伴うiDeCoの掛金変更(自動減額を含む)は、もともと回数に数えません。

なお、同じ2026年12月分の掛金から、連合会に払う加入中の手数料が、掛金を払うたびの105円から月120円(税込)に変わります。こちらは手続き不要です。

増やした分の控除は2027年分から

iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。国税庁の説明では、控除の対象は「その年に支払った掛金」です。ここでは自分の口座から引き落とされる払い方を前提にしています。給与天引きで払っている場合の扱いは、勤務先に確認してください。

掛金は翌月26日に口座から引き落とされるため、運営管理機関の案内によると、ある年の控除に入るのは前年12月分から当年11月分までです。2026年12月分は2027年1月26日に引き落とされるので、2027年分の控除になります。12月に掛金を増やしても、10月下旬に届く2026年分の払込証明書の金額は増えません。増額の効果が税金に表れるのは、2027年の年末調整からです。

会社の掛金が上がると、iDeCoの枠は縮みます

12月には企業型DCの上限も、DBがない場合で月5.5万円から6.2万円に上がります。会社が企業型DCの掛金を引き上げると、6.2万円から引く額が大きくなり、iDeCoに使える枠はそのぶん小さくなります。

iDeCoと企業年金の掛金の合計が上限を超えると、iDeCoの掛金は自動で減額されます。減額後が5,000円未満になると、iDeCoの拠出は一時停止します。止まった月の掛金は、あとから追納できません。

上限いっぱいまで増やした人ほど、この影響を受けやすくなります。会社から企業年金の掛金を変えるお知らせが届いたら、iDeCoの掛金も合わせて見直す時期です。

上限まで入れる前に、家族で話しておきたいこと

上限の広がり方は、世帯の働き方で変わります。夫婦ともに企業年金のない会社員なら、2人の上限の合計は月4.6万円から12.4万円になります。一方が専業主婦・主夫(第3号被保険者)なら、その人の枠は2.3万円のままで、事前受付の対象にもなりません。同じ12月の改正でも、夫婦で届く案内の中身が違うことがあります。

iDeCoの資産は、原則60歳まで引き出せません(障害や死亡などの例外があります)。上限の6.2万円は「ここまで入れてよい額」で、「入れるべき額」ではありません。大学進学期の教育費や住宅ローンの繰上げ返済など、60歳より前に要るお金を先に見積もり、残りをiDeCoに回す額の目安にする考え方もあります。教育資金の積み立て方はこどもNISAの記事で、iDeCoの掛金の考え方は【iDeCo】掛金の決め方3つのポイントで取り上げています。

受け取るときの税金の扱いも、2026年に一度変わっています。iDeCoなどの一時金を先に受け取り、あとで会社の退職金を受け取る場合、退職所得控除の重複を調整する対象が、退職金を受け取る年の「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に受け取った一時金に広がりました(2026年1月1日以後に受け取る一時金が対象)。「5年ルールが10年ルールに」と呼ばれることもある改正です。受け取り方を決める時期が近づいたら、その時点の制度を確認してください。

月いくらなら60歳まで置いておけるかを、夫婦で一度数字にしてみてください。その額が決まれば、10月30日までに書面で出すか、12月にe-iDeCoで出すか、来年に回すかは自然に決まります。

2026年10月11日時点の情報です。事前受付の締め切りやe-iDeCoの利用可否は加入先の金融機関によって異なるため、最新の案内を確認してください。

出典

よくある質問

iDeCoの限度額の引き上げは、いつからですか?
2026年12月分の掛金からです。掛金は翌月26日に引き落とされるため、新しい額で引き落とされるのは2027年1月26日からになります。2026年12月の引き落としは11月分なので、変更前の額のままです。
上限が上がれば、iDeCoの掛金は自動で増えますか?
増えません。掛金を増やすには、自分で掛金額の変更を届け出ます。12月分から増やすなら、書面の事前受付(auのiDeCo・りそな銀行は10月30日必着)か、12月1日から24日までのe-iDeCoで手続きします。
事前受付の締め切りに間に合いませんでした。もう増額できませんか?
できます。12月1日から24日までにe-iDeCoで手続きすれば、原則として12月分から反映されます。e-iDeCoを使わない場合も、通常の変更届で2027年1月分以降の掛金を増やせます。
iDeCoの掛金変更は年1回までと聞きました。12月に増額すると、来年は変えられませんか?
変えられます。2026年12月1日から2027年11月30日まで(金融機関での受付日が基準)に、旧上限を超える額へ初めて増額する変更は、「年1回」の回数に数えない特例の対象です。特例が使えるのは1回だけで、旧上限以下への変更や2回目以降の変更には通常のルールが当てはまります。
書面の事前受付とe-iDeCoの両方で出しておけば安心ですか?
両方で出すと、重複届出として無効になるとりそな銀行は案内しています。どちらか一方で手続きしてください。事前受付の書類を出したあとは、取り下げや出し直しもできません。
12月に増額すると、今年の年末調整で控除が増えますか?
増えません。所得控除の対象はその年に支払った掛金で、12月分の掛金は2027年1月26日に引き落とされるため、2027年分の控除になります。
m
この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

関連記事