ゲーム障害の基準は時間でなく行動

子育て・教育memStock編集部
ゲーム障害の基準は時間でなく行動

子どものゲーム時間の平均とは、誰が答えたか、ネット全体かゲームだけか、平日か休日かで調査ごとに変わる数字で、1つには決まりません。国の調査で示されている平日の時間も、ゲームを含むネット全体の合計です。一方でWHOが定めるゲーム障害の基準に「1日○時間」の線はありません。判断の材料は、ゲームを制御できない、ほかの活動よりゲームを優先する、悪影響があっても続けるという行動と、それが続いた期間です。

ゲーム障害の基準に「時間」はない

WHOの基準は時間の長さでなく、行動のパターンでゲーム障害を判断します。国際疾病分類ICD-11(2022年1月1日発効)はゲーム障害(英語名 gaming disorder)を、ゲームを自分で制御できない、ほかの関心事や日常の活動よりゲームを優先していく、悪い影響が出てもやめずに続けたり増やしたりする、という行動のパターンと定義しています。

診断にはさらに条件があります。その行動のせいで、本人や家族の生活、人づきあい、学業、仕事などに重大な支障が出ていること。そして、それが通常は12か月以上続いていること。症状が重い場合は、より短い期間でも診断されることがあるとされています。

この定義のどこにも「1日何時間を超えたら」という数値は出てきません。長く遊ぶ日が続いていても、それだけではゲーム障害の条件を満たさず、時間の平均とゲーム障害の基準は別のものを測っています。

見るもの 平均時間の話 ゲーム障害の基準
数えるもの 1日や1週間あたりの時間 制御できない・優先する・悪影響があっても続ける、の行動
期間 調査した時点の平日1日など 通常12か月以上
生活への影響 問わない 家族・学業などに重大な支障があること
判断のしかた 調査ごとの集計 診断基準による判断

国の調査では、子どもは1日どのくらいゲームをしているか

こども家庭庁の調査で示されているのはゲームを含むネット全体の時間で、平日1日の平均は小学生(10歳以上)233.6分、中学生324.3分、高校生404.0分でした。このうちゲームに使った時間がどれだけかは、この数字からは読み取れません。

もとになったのは令和7年度の「青少年のインターネット利用環境実態調査」です。2025年11月1日から12月18日に行われ、2026年3月に結果の概要が公表されました。対象は満10〜17歳の5,000人とその保護者などで、10歳以上の子は本人が答えています。回収は青少年3,060人でした。

平均の233.6分は、7種類の機器でネットを使った時間を合わせたものです。集計に入った小学生は847人でした。

ネットの使い道にゲームを挙げた子はネットを使う子のうち小学生(10歳以上)85.5%、中学生87.1%、高校生81.8%でした。小学生では動画視聴の88.8%に次ぐ高さです。ゲームをする子は多いものの、ネットに使う4時間弱のうち何分がゲームかまでは示されていません。調査は令和4年度まで内閣府が、令和5年度からはこども家庭庁が行っています。

子どもが自分のスマホを持ち始める学年については、こちらの記事にまとめています。

調査によって「平均」が違う理由

誰に聞いたか、何を数えたか、平日か休日かが調査ごとに違うため、平均や割合は1つにそろいません。主な調査の数え方を並べると次のとおりです。

調査名 対象(学年・回答者) 数えたもの 平日/休日 結果の出し方
こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2025年11〜12月) 満10〜17歳は本人回答。0〜9歳は保護者回答 ゲームを含むネット利用全体 平日1日 平均(分)
久里浜医療センター「ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート」(2019年1〜3月) 全国の10〜29歳から無作為抽出、回答5,096人 ゲーム 平日1日 時間区分ごとの割合
ゲーム障害調査研究会「ゲーム障害縦断調査」(2025年3月報告) 東京都・福岡県の小学校4校249人、中学校4校205人 ゲーム 平日と休日の両方 日数と1日の時間から1週間の合計

回答者の違いは同じ調査の中にもあります。こども家庭庁の調査では0〜9歳の子については保護者が、10歳以上は本人が答えているので、年齢をまたいで数字を並べても同じ条件の比較になりません。

数えるものも違います。こども家庭庁の数字はゲームを含むネット全体で、久里浜医療センターと縦断調査はゲームの時間。縦断調査は平日と休日の日数と1日の時間から1週間の合計を出しているため、平日1日の時間とはそのまま比べられません。

平均を1つ出すと、分布の偏りも見えなくなります。久里浜医療センターの2019年調査で平日のゲーム時間を見ると、3時間以上は男性24.6%、女性10.4%、1時間未満は男性26.0%、女性57.1%でした。この調査の対象は10〜29歳で、小学生だけの数字ではありません。

数字を見かけたら、表の2列目にあたる「誰に聞いたか」を最初に確かめると、ほかの調査と並べてよいかの見当がつきます。

時間が長いほど「やめられない」子は増えるのか

2019年の久里浜医療センターの調査では、平日のゲーム時間が長い区分ほど「止めなければいけない時に止められなかった」と答えた人の割合が高くなっていました。ただし対象は10〜29歳で、時間が長いせいでやめられなくなったと示した結果ではありません。

割合は60分未満で21.9%、1時間以上2時間未満で28.5%、6時間以上で45.5%。調査は全国の10〜29歳から9,000人を無作為に選び、5,096人が回答しています。60分未満でも5人に1人を超える人がやめられなかったと答え、6時間以上でも半数には届いていません。

もっと新しい全国調査もあります。久里浜医療センターが全国の10〜80歳から9,000人を無作為に選んで行い、2018年度の調査と比べた報告書(2026年2月)です。GAMES-Testという質問票でゲーム障害の疑いがある人(報告書の表記は「ゲーム行動症疑い」)は、10代男性で17.1%、10代女性で7.6%でした。

別の質問票IGDT-10では10代男性4.5%、10代女性1.3%で、使う質問票によって値が大きく変わります。どちらも質問への回答から見た「疑い」で、医療機関で診断された人の割合ではありません。

時間より先に見る、生活のサイン

時間の数字より先に、ゲームのせいで生活のどこかが崩れ、それが続いているかを見ます。WHOの基準も、家族や学業などへの重大な支障とその期間を条件にしています。

家庭では、朝起きられない日が続く、宿題や習い事を後回しにすることが増えた、やめる時間をめぐる言い合いが毎日になった、といった変化に気づくことがあります。これはゲーム障害かどうかを見分けるチェックリストではありません。家庭では、その変化が何か月も続いていないか、家族で話し合っても変わらないかを見ておきます。

夜ふかしが続いているなら、睡眠のリズムを家族で整える方法をこちらの記事で紹介しています。

相談先として、厚生労働省はゲーム依存症を含む依存症について、主に精神保健福祉センターが本人や家族からの相談を受け付けていると案内しています。センターは都道府県と政令指定都市ごとにあり、電話や面接で相談できます。

家のルールの数字の例には、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(2020年4月1日施行)の「1日60分、学校などが休みの日は90分」があります。2026年10月時点の条文では、家庭でルールを作るときの目安とされ、罰則はありません。WHOのゲーム障害の基準とも別のものです。

ルールを決める場面がゲーム機を買うときなら、こちらの記事で家庭での決め方を扱っています。

時間とは別にお金の使いすぎが気になる場合は、ゲームの課金の仕組みをこちらで整理しています。

次にゲームの終わりの時間で揉めたら、何分遊んだかを言い合う前に、この1週間で朝起きられなかった日が何日あったかを家族で数えてみてください。

出典

すべて2026-10-17に確認。

よくある質問

小学生のゲーム1日1時間は少ないですか?
WHOのゲーム障害の基準には、時間だけで多い・少ないを決める線はありません。こども家庭庁の調査の平日平均は、ゲームを含むネット全体で小学生(10歳以上)233.6分でしたが、ゲームだけの時間ではありません。WHOのゲーム障害の基準にも時間の線はないので、1時間という長さより、決めた時間に自分でやめられているかを見ます。
小学生のゲームは1日1時間までと決まっているのですか?
WHOのゲーム障害の基準に、小学生のゲームを1日1時間までとする決まりはありません。香川県の条例には1日60分(学校などが休みの日は90分)の目安がありますが、家庭でルールを作るときのもので、罰則はありません。
小学生に1日10時間ゲームをさせたらどうなりますか?
時間だけで何が起きるかを決めることはできません。10〜29歳を対象にした2019年の調査では、平日6時間以上の区分で45.5%が「止めなければいけない時に止められなかった」と答えていましたが、時間が原因だと示した結果ではありません。10時間という長さだけで判断せず、朝起きられているか、学校に通えているかを確かめます。
ゲーム障害かもしれないと思ったら、どこに相談すればいいですか?
ゲーム障害かもしれないと思ったら、地域の精神保健福祉センターに相談できます。厚生労働省は、ゲーム依存症を含む依存症の相談を主に精神保健福祉センターで受け付けていると案内しています。都道府県と政令指定都市ごとにあり、家族だけでも電話や面接で相談できます。

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