変動金利型ローン、利上げへの備え方

住まい・ローンmemStock編集部(更新: 2026年10月13日)
変動金利型ローン、利上げへの備え方

変動金利型の住宅ローンを返済していると、金融機関から「適用金利変更のお知らせ」が届くことがあります。金利が上がったと書いてあるのに、口座から引き落とされる額は先月と同じ。そのまま忘れてしまう人もいるはずです。

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除してから、政策金利を段階的に引き上げてきました。変動金利型は、低金利が続くことを前提にした使い方から、金利が上がることを前提にした使い方へ切り替える時期に来ています。返済中の家庭がとれる備えを、試算とともに見ていきます。

政策金利は2024年から5回引き上げられた

日銀が金融政策決定会合で決めた、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標は次のとおりです。

決定日 誘導目標
2024年3月19日 0〜0.1%程度(マイナス金利政策を解除)
2024年7月31日 0.25%程度
2025年1月24日 0.5%程度
2025年12月19日 0.75%程度
2026年6月16日 1.0%程度
2026年9月18日 1.25%程度(9月24日から適用)

変動金利型の住宅ローン金利は、政策金利の影響を受けます。住宅金融支援機構の調査(2026年1月調査)では、今後1年間の住宅ローン金利について「現状よりも上昇する」と答えた人が73.7%でした。政策金利と変動金利型の金利をつなぐ短期プライムレートの動きは、別の記事でくわしく取り上げています。

返済額が変わらない5年間に起きていること

変動金利型の金利は、半年に1回見直されるのが一般的です。ところが毎月の返済額は5年ごとにしか見直されず、見直し後の返済額は変更前の1.25倍までとする契約が多くあります。いわゆる5年ルールと125%ルールです。どちらも金融機関が商品ごとに定める仕組みで、すべての商品にあるわけではありません。

3,000万円を年1.0%・35年・元利均等返済で借り、2年後に金利が2.0%に上がったとします(試算のための仮定です)。

  • 毎月の返済額は8万4,686円のまま、5年目の終わりまで変わりません
  • 金利が上がった直後の月の利息は約4万7,600円で、1.0%のままなら約2万3,800円でした。元金に回る分は約3万7,100円に減ります
  • 6年目からの返済額は約10万457円に見直されます。1.25倍の上限(10万5,857円)には届きません

引き落とし額が同じでも、元金の減り方は金利が上がった月から遅くなっています。さらに金利が上がり、5年目の終わりの残高(約2,718万円)に対して年3.7%程度を超えると、毎月の利息だけで返済額を上回ります。払いきれない利息は「未払利息」として繰り延べられ、1.25倍の上限を超えた分も帳消しにはなりません。

自分の契約にこの2つのルールがあるか、次の返済額の見直しがいつかは、契約書や返済予定表で確かめられます。返済額が変わらない仕組みについては、こちらの記事でも解説しています。

繰上返済は金利が高いほど利息が減る

繰上返済は、元金の一部または全部を予定より早く返すことです。返した元金にはその後の利息がかからないため、金利が高いほど、減る利息は大きくなります。

3,000万円・35年・元利均等返済で、5年後(60回返済後)に100万円を繰上返済する場合を計算しました。

金利 減る利息(期間短縮型) 短くなる期間
年1.0% 約34万円 15か月
年3.0% 約140万円 20か月

同じ100万円でも、金利3.0%のときのほうが利息は4倍ほど多く減ります。金利が低い時期は、繰上返済で減る利息も小さくなります。

繰上返済には、毎月の返済額をそのままにして借入期間を短くする方法と、借入期間をそのままにして毎月の返済額を減らす方法があります。上の例を返済額を減らす方法で計算すると、減る利息は年1.0%で約16万円、年3.0%で約52万円です。総返済額を減らす効果は、期間を短くする方法のほうが大きくなります。

ただし、繰上返済に回したお金は戻ってきません。教育費や急な出費に使う手元資金を残したうえで、余裕資金から返すのが前提です。繰上返済の手数料や、繰上返済日までの経過利息がかかる場合もあるので、契約先の条件を確認してください。

金利が上がったときの差額を、先に積み立てる

金利が上がってから家計を組み直すより、上がった後の返済額との差額を先に積み立てておくほうが、慌てずに済みます。

3,000万円・35年・元利均等返済の場合、借入時点の毎月の返済額は、年1.0%なら8万4,686円、年2.0%なら9万9,379円です。差額の約1万4,700円を毎月、返済とは別の口座に積み立てておけば、5年後に返済額が見直されたときの増加分を受け止めやすくなります。

金利が思ったほど上がらなかった場合は、積み立てた資金を繰上返済に回せます。上の試算のとおり、金利が上がってからの繰上返済ほど利息を減らす効果は大きくなります。

金利が下がった時期に返済額を減らし、浮いたお金を別の用途に回すという考え方もありました。金利が上がる局面では、返済額を減らすと元金の減りが遅くなり、その後の利上げの影響を大きく受けます。返済額を下げる判断は、手元資金に余裕があるかを確かめてからにしてください。

固定金利への切り替えを考えるとき

変動金利型の契約によっては、返済の途中で3年・5年・10年などの固定金利期間選択型へ切り替えられるものがあります。切り替えられるか、手数料がかかるか、切り替え後の金利がどう決まるかは契約ごとに違います。

固定金利は、上がり始めてから切り替えようとしても間に合わないことがあります。住宅金融支援機構は、固定金利型の住宅ローン金利は変動金利型に先行して上がる傾向があると説明しています。変動金利型の金利が上がったのを見てから切り替えると、固定金利はすでに上がっていることになります。

切り替えや他の金融機関への借り換えを考えるときは、残りの返済期間と、教育費が増える時期を並べて考えると判断しやすくなります。返済期間が短く、残高が少ないなら、変動金利型のまま繰上返済で残高を減らすほうが合う場合もあります。

金利タイプごとの仕組みや、元利均等返済と元金均等返済の違いは、こちらの記事でまとめています。

変動金利型の基準になる短期プライムレートの推移と、返済額への影響はこちらです。

出典

よくある質問

金利が上がったのに、返済額が変わらないのはなぜですか?
5年ルールのある契約では、金利が半年ごとに見直されても、毎月の返済額は5年ごとにしか変わりません。その間は返済額のうち利息に回る分が増え、元金の減り方が遅くなっています。
繰上返済は、金利が低いうちにしたほうが得ですか?
逆です。繰上返済で減る利息は、金利が高いほど大きくなります。3,000万円・35年の例で5年後に100万円を返すと、減る利息は年1.0%で約34万円、年3.0%で約140万円でした。
未払利息が発生したら、払わなくてよくなるのですか?
なりません。未払利息は繰り延べられるだけで、返済が必要です。125%ルールの上限を超えた分も同じです。
変動金利型から固定金利に切り替えられますか?
契約によって、返済の途中で固定金利期間選択型に切り替えられるものがあります。可否や手数料、切り替え後の金利の決まり方は契約先に確認してください。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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