親の介護、月額の平均は9万円でした

祖父母・帰省・三世代memStock編集部
親の介護、月額の平均は9万円でした

月9.0万円、一時47.2万円、4年7か月。親の介護費用の平均を生命保険文化センターの2024年度調査で見ると、この3つの数字が出てきます。対象は2人以上世帯で過去3年間に介護を経験した人で、公的介護保険サービスの自己負担も含んだ額です。払う順番を法律で決めているわけではありませんが、まず親本人の年金と貯蓄から払い、子の家計から出すのは足りない額と出す人を家族で決めてから、という考え方があります。

介護にかかる費用の平均はいくら?

2024年度の調査では、一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円、介護期間が平均55.0か月(4年7か月)でした。

期間の分布では、4年を超えて介護した人が約4割いました。まだ介護が続いている人の期間は、始めてから調査時点までの長さで数えています。

3つの数字はそれぞれ別に出した平均です。月額の平均に期間の平均を掛け、一時費用を足した額は、調査が示した総額ではありません。月額が高い人と期間が長い人が同じ人とは限らないためです。

前回の2021年度調査と並べると、次のとおりです。

項目 2021年度調査 2024年度調査
一時的な費用 平均74万円 平均47.2万円
月々の費用 平均8.3万円 平均9.0万円
介護期間 平均61.1か月(5年1か月) 平均55.0か月(4年7か月)

月額は前回より0.7万円上がり、一時的な費用と期間は小さくなりました。2つの調査の値は1つの計算に混ぜず、年度をそろえて読みます。

介護が必要と認定された人の数も見ておきます。厚生労働省の介護保険事業状況報告(2026年7月暫定版)では、2026年7月末の要介護(要支援)認定者数は745.0万人でした。

在宅と施設で月額はどれだけ違う?

2024年度調査の月額は、在宅が平均5.3万円、施設が平均13.8万円でした。施設のほうが月8.5万円高い計算です。

区分(2024年度調査) 月額の平均 読むときの注意
全体 9.0万円 一時的な費用47.2万円は別
在宅 5.3万円 公的介護保険サービスの自己負担を含む
施設 13.8万円 施設の種類ごとの額ではない

施設の13.8万円は介護を行った場所で分けた平均で、施設の種類ごとの請求額ではありません。親が入るかもしれない施設の費用は、その施設の料金表で確かめます。

在宅で始めて途中から施設に移れば、月の支出もそこで変わります。在宅と施設の両方の額を手元に置いておくと、数年先の見通しを家族で話しやすくなります。

介護費用は誰が払う?

法律で決まった順番ではありませんが、まず親本人の年金と貯蓄から払い、足りない分を家族で分けるという順番で考える方法があります。民法には家族の扶養を定めた条文がありますが、子が介護費用をいくら出すかまでは書かれていません。

民法877条1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。2項では「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」としています。

条文から読めるのは、親子やきょうだいの間に扶養の義務があるところまでです。子が介護費用を全額負担するとも、まったく負担しなくてよいとも書かれておらず、金額や分け方の基準もありません。

実際に誰が払ったかを聞いた調査もあります。LIFULL seniorが2026年1月に発表した調査では、入居一時金の負担者で最も多い回答が「入居者ご本人のみ」の30.7%でした。対象は直近1年以内に家族・親族が介護施設や高齢者住宅に入居した男女762人で、2025年12月23〜24日に行われたインターネット調査です。民間の調査なので、全国の介護世帯を代表する数字ではありません。

親に切り出す前に、夫婦で気づいたことを共有しておく話はこちらの記事にあります。

帰省のときに親と何を確認しておく?

年金の額、預貯金のおおよその額、入っている保険、介護保険の自己負担の割合です。

確認すること 切り出し方の例 わかること
年金の額 「年金って月にどれくらい入ってるの?」 毎月の支出に回せる額
預貯金 「何かあったとき、手元にどれくらいある?」 一時的な費用や不足分の備え
入っている保険 「介護のときに出る保険って入ってた?」 保険で出るお金があるか
介護保険の自己負担の割合 「介護保険の書類、どこにしまってる?」 サービスを使ったときの負担

いきなり金額を聞くと身構える親もいます。知り合いの家の話やニュースをきっかけに「うちはどうしておく?」と聞くほうが、話は進みやすいでしょう。1回の帰省で全部を聞かず、今回は年金、次は保険と分けてもかまいません。聞いた内容はきょうだいとも共有できる形でメモに残します。

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費用を抑える公的制度は何がある?

介護サービスの自己負担に月の上限を設ける「高額介護サービス費」と、施設の居住費と食費を軽くする「特定入所者介護サービス費(補足給付)」があるとされています。どちらも親の所得の区分によって、使えるかどうかと額が変わります。

高額介護サービス費は、月々の介護サービス費の自己負担が所得区分ごとの上限額を超えたとき、超えた分が支給される制度と説明されています。2026年10月時点で確認できた厚生労働省の資料(2025年8月からの概要)では、一般的な課税世帯の上限は世帯で月44,400円、一定以上の高所得の世帯は月93,000円または140,100円とされています。この上限額は資料本文で再確認できていない値なので、親の世帯の区分と合わせて市区町村で確かめてください。

特定入所者介護サービス費は、所得と資産が一定以下の介護保険施設の入所者などが対象で、負担限度額を超えた居住費と食費が支給される仕組みと説明されています。使うには市区町村への負担限度額認定の申請が必要とされ、要件の細部も市区町村で確認します。

制度名(2026年10月時点) 何を軽くするか 対象とされる人 確認先
高額介護サービス費 介護サービス費の月の自己負担 自己負担が所得区分ごとの上限を超えた世帯とされる 親が住む市区町村
特定入所者介護サービス費(補足給付) 施設の居住費と食費 所得と資産が一定以下の介護保険施設の入所者などとされる 親が住む市区町村(負担限度額認定の申請)

どこに相談すればよいかわからないときは、親が住む地域を担当する地域包括支援センターが家族の相談先として案内されています。

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きょうだいで分担するときは何を基準に決める?

「長男だから」ではなく、親のお金で足りない月の額、それぞれが出せる額、介護に使える時間で決めます。民法877条1項の条文も、きょうだいを生まれた順で分けていません。

まず不足額を出します。親の年金と貯蓄で月々の費用をどこまでまかなえるかを計算し、足りない分だけを分担の対象にします。不足額がわからないまま「とりあえず月いくらずつ」と決めると、後から負担の重さに差が出やすくなります。

お金と時間は分けて考えられます。親の近くに住むきょうだいが通院の付き添いを受け持ち、遠くに住むきょうだいがお金を多めに出す、という分け方もあります。介護を担う側は立て替えた費用と使った時間を記録し、全員が見られる場所で共有しておくと、あとで「誰がどれだけ」を話すときの材料になります。

次の帰省では、親の年金が月にいくら入っているかを1つだけ聞いてみてください。在宅5.3万円、施設13.8万円という2024年度の平均と並べれば、家族で話す不足額の見当が付きます。

出典

すべて2026-10-25に確認。

よくある質問

親の介護費用は誰が払うものですか?
法律で決まった順番はありませんが、まず親本人の年金と貯蓄から払い、足りない分を家族で話し合って分ける考え方があります。LIFULL seniorの民間調査(2026年1月発表)でも、入居一時金の負担者で最も多かったのは「入居者ご本人のみ」の30.7%でした。ただし対象は施設入居を経験した家族762人に限られます。
親の老人ホームの費用は年金で払うのですか?
決まった払い方はありませんが、親本人の年金と貯蓄で払えるかを先に計算しておく方法があります。2024年度調査では施設での介護の月額は平均13.8万円でしたが、施設の種類ごとの額ではないため、実際の費用は施設の料金表で確かめます。
介護で働けない場合、離れて住むきょうだいに費用を請求できますか?
民法877条1項は兄弟姉妹も含めて互いに扶養する義務を定めていますが、介護を担った人がほかのきょうだいにいくら求められるかは条文に書かれていません。まず立て替えた費用と介護に使った時間を記録し、それをもとに話し合います。
介護費用はきょうだいで必ず分担しなければなりませんか?
民法877条の条文は扶養の義務を定めていますが、きょうだいの間の分担割合までは定めていません。親のお金で足りない額を出してから、出せる額と使える時間に合わせて分け方を決めます。

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