学校を休んで家族旅行?ラーケーションとは

教育・学校memStock編集部(更新: 2026年10月13日)
学校を休んで家族旅行?ラーケーションとは

親の休みが平日にしか取れない。連休は旅行代金が高く、混雑も激しい。そんなとき、子どもに学校を休ませて家族旅行に行ってよいのか迷う家庭は少なくありません。

先に答えを書くと、制度のない地域で旅行のために休んだ日は「欠席」として記録されます。一方、愛知県や茨城県、川崎市などが設けている「ラーケーション」の仕組みを使えば、決められた日数の範囲で、保護者と校外で学ぶ日は欠席になりません。この記事では、文部科学省が示す出欠の区分と自治体の公式資料をもとに、2026年10月時点の制度を整理します。

家族旅行で休んだ日は、ふつう「欠席」になる

学校の出欠は、文部科学省が通知で示した指導要録の区分に沿って記録されます。出席しなくてもよい日として「出席停止・忌引等の日数」にまとめられるのは、感染症などによる出席停止、学年の一部の臨時休業、忌引、非常変災など本人や保護者の責任ではない事情で校長が認めた日、そして「その他教育上特に必要な場合で、校長が出席しなくてもよいと認めた日数」です。

欠席日数は「出席しなければならない日数のうち病気又はその他の事故で児童が欠席した日数」と定められています。家族の都合による旅行は、自治体の制度や校長の判断がなければ、この欠席に数えられます。旅行を理由に休むこと自体を禁じる規定はありませんが、記録の上では病気で休んだ日と同じ「欠席」になる、という整理です。

なお、学校の教育活動の一環として運動や文化の行事に参加した場合は、校長の判断で「出席扱い」にできます。家庭で計画する旅行はこれにあたりません。

ラーケーションとは何か、欠席とどう違うか

ラーケーションは、ラーニング(学び)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉です。愛知県が2023年度(令和5年度)に「ラーケーションの日」として始め、その後、ほかの県や市にも同じ考え方の制度が広がりました。

愛知県教育委員会の保護者向けリーフレットは、ラーケーションの日を、子どもが保護者などと一緒に、平日に校外で体験や探究の学びを自ら考え、企画し、実行する日と説明しています。校外での自主学習活動として扱うため、登校しなくても欠席にはならず、「出席停止・忌引等」と同じ扱いになります。徳島市の実施要項は、この扱いが文部科学省の通知にある「教育上特に必要な場合で、校長が出席しなくてもよいと認めた日数」にあたると明記しています。

ここで誤解しやすいのは、ラーケーションの日は「出席」にはならないことです。出席日数にも欠席日数にも数えない日、という位置づけです。受けられなかった授業は家庭で自習して補うことになっています。

旅行に使えるかどうかについて、愛知県のリーフレットは「学びの要素があれば、旅行に出かけることもできます」と答えています。一方で、出かけなくても家の近くで学ぶ形でかまわないとしています。行き先よりも、何を学ぶかを子どもと事前に話し合うことが求められている制度です。

導入している自治体と取れる日数

日数や対象校は自治体ごとに違います。公式資料で確かめられた主な例を表にまとめます。

自治体・名称 対象 取れる日数 主な条件
愛知県「ラーケーションの日」 県内の公立学校 年3日まで 保護者等と一緒に活動。2026年度は大会観戦用の特別枠2日あり
茨城県「体験活動推進日」 県立中学校・高校・中等教育学校 年5日まで 原則1週間前までに申請
川崎市「かわさきホリデー・アンド・スタディ」 市立学校 任意利用日が年1日 前日までにアプリで届け出。別に全校一斉の固定利用日あり
静岡市「ラーケーション」 市立小中学校 年3日まで 2026年7月1日から。1週間前を目安に申請
徳島市「ラーケーション」 市立小中学校・高校 年3日まで 2026年4月から。1週間前までに届出書を提出

愛知県では2026年度、アジア競技大会・アジアパラ競技大会を保護者と競技会場で観戦する日に使える「アジア・アジアパラ観戦特別ラーケーション」が設けられました。通常の3日とは別に、1日単位で2日まで取れます。

川崎市は、10月のスポーツの日を含む3連休明けの火曜日を市立小中学校の一斉の休業日(固定利用日、2026年度は10月13日)にしたうえで、2025年4月から、家庭ごとに選べる任意利用日を年1日加えました。山口県も県内の公立学校で「家族でやま学の日」を導入しています。

愛知県、茨城県、静岡市、徳島市の制度では、残った日数を翌年度に繰り越せません。お住まいの市町村が対象かどうかは、学校からのお知らせか教育委員会のページで確かめてください。県の制度でも、市町村立学校での運用は市町村教育委員会ごとに案内されています。

届け出の前に確かめておきたいこと

愛知県のリーフレットは、利用の流れを「計画を立てる」「届け出る」「ラーケーション」「振り返る」の順に示しています。計画の段階では、活動する日、活動する場所、学ぶことの3つを子どもと一緒に決めます。学びのキーワードとして自然、科学、産業、歴史、国際理解、福祉、キャリアなどが挙がっており、身近な場所でもよいと書かれています。

活動のあとは、学んだことを子どもと話し合います。茨城県や徳島市も活動後の振り返りを求めていますが、徳島市と静岡市は学校への報告書の提出は不要としています。

申請の期限は自治体によって違います。愛知県のリーフレットは学校が指定する方法での事前の届け出を求め、徳島市は1週間前まで、茨城県は原則1週間前としています。川崎市は欠席連絡アプリで前日までに届け出られますが、施設の割引などで証明書が必要な場合は1週間前までに申請票を出します。

取れない日も決まっています。入学式や卒業式、運動会、定期テスト、修学旅行などの日は、静岡市や徳島市の要項で取得できない日として挙げられており、愛知県や川崎市でも学校ごとに除外する日が示されます。旅行の日程を決める前に、学校の行事予定と照らし合わせておくと安心です。

給食の扱いにも注意が要ります。愛知県豊橋市の案内では、前月15日までに届け出れば当日の給食を止められますが、それ以降は食材の発注が済んでいるため変更できません。

けがへの備えも確認しておきましょう。茨城県のQ&Aは、体験活動推進日の活動は学校の管理下ではないため、日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象外だとして、家庭での保険加入をすすめています。

制度がない地域で、旅行のために休むとき

ラーケーションのない地域で平日に旅行する場合、記録は欠席になります。休む日が決まったら早めに担任に伝え、その間の学習内容や提出物を確かめておくと、戻ったあとの負担を減らせます。

家庭がこうした選択を迫られる背景には、親の休みの取りにくさがあります。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、2024年の年次有給休暇の取得率は66.9%で過去最高でしたが、宿泊業・飲食サービス業は50.7%にとどまります。愛知県のリーフレットは制度をつくった理由として、総務省の調べで土曜日に働く人が約45%、日曜日に働く人が約30%いることを挙げています。

海外にも、学校の休みの外で旅行することを厳しく制限する国があります。オランダ政府の案内では、5歳になった子どもは毎授業日に登校する必要があり、休暇の旅行のために学校を休ませることはできません。ただし、親の仕事の都合で学校の休みに休暇を取れない場合は、8週間前までに書面で校長に申請し、年1回・10授業日までの許可を求められます。

旅行を通じた子どもの学びについては、次の記事でも扱っています。

出典

よくある質問

ラーケーションの日は出席扱いになりますか
出席にはなりません。「出席停止・忌引等」と同じ扱いで、欠席にも出席にも数えない日として記録されます。受けられなかった授業は家庭での自習で補います。
ラーケーションの日に子どもだけで出かけてもよいですか
愛知県、川崎市、静岡市などの制度は、保護者等と一緒に活動することを条件にしています。静岡市は祖父母や成人したきょうだいなどの同伴も認めています。条件は自治体ごとに違うため、学校の案内で確かめてください。
使わなかった日数は翌年度に繰り越せますか
愛知県、茨城県、静岡市、徳島市の資料は、いずれも翌年度への繰り越しはできないとしています。年度内に使い切らなかった日は消えます。
住んでいる自治体にラーケーションがあるか、どう調べればよいですか
学校からのお知らせや、市町村教育委員会のウェブサイトで確認できます。県の制度でも、市町村立学校の届け出方法や取れない日は市町村や学校ごとに決まっているため、在籍する学校に問い合わせるのが確実です。
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この記事を書いた人

memStock編集部

memStock編集部は、家族の豊かな暮らしと家計管理を応援する記事制作チームです。ライフハック・節約・投資・保険など、日常生活とお金に関する実用的な情報を、確かな専門知識と多様な視点から分析・提供しています。読者の皆様が抱える日々の悩みや将来への不安を解消し、ワンランク上の生活を実現するためのヒントが詰まった記事をお届けします。 「家族の暮らしをより豊かに」をモットーに、わかりやすく実践的なコンテンツで皆様の人生設計をサポートします。

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この記事を監修した人

山田 尚貴

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、NTTPCコミュニケーションズでシステムエンジニアとして金融機関等のシステム運用などに携わる。2009年、株式会社エニドアを創業し代表取締役に就任。クラウドソーシングサービスの開発・提供を行う。M&Aにより会社を売却後、上場企業のグループ会社の経営を6年行った後、株式会社modoを創業し代表取締役に就任。家族向けのサービスmemStockの開発を行う。 二級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種を保有。2児の父。

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