車の減税も補助金も、区切りは登録日です

「今月中にご契約いただければ」「補助金が終わる前に」。秋の週末、販売店でそう言われて見積書を持ち帰り、夜に夫婦で食卓に広げます。値引きの欄、諸費用の欄、合計の欄。どこを見て、いつまでに決めればいいのか、話し合う材料が足りません。
2026年は、車を買うときにかかる税金が1つなくなった年です。その一方で、減税の基準や補助金の締め切り、保険料の改定など、日付の決まった変更はこの先も続きます。制度の日付と販売店の期限を分けて並べ、見積書の中身と契約前に確かめたいことまでを整理しました。
2026年4月、新車の登録が前年同月より17.6%増えました
車を買ったときにかかっていた「環境性能割」は、2026年3月31日で廃止されました。燃費性能に応じて取得価額の0〜3%(軽自動車は0〜2%)がかかる税で、同日までに取得した車には従来どおり課税されます。
税額は「通常の取得価額×税率」で計算していました。取得価額300万円の登録車なら、税率3%で9万円、1%で3万円です。EV・PHEVや、燃費基準(令和12年度基準)を95%以上達成した登録車はもともと非課税だったので、廃止による差はありません。
日本自動車販売協会連合会の統計(運輸支局で登録された台数)では、2026年3月の登録車は前年同月比7.3%減、4月は255,370台で17.6%増でした。業界紙は3月末までの予定だった登録を4月に遅らせる動きが広がったと報じており、廃止の日付に合わせて登録時期を調整した人が多かったとみられます。
2026年秋から2028年まで、決まっている日付を並べます
これから先の主な日付は次のとおりです。2028年の2つは方針が決まった段階で、税率はまだ決まっていません。
| 日付 | 変わること | 関わる車 |
|---|---|---|
| 2026年11月1日 | 自賠責保険料が平均6.2%上がる(この日以降に保険期間が始まる契約) | すべての車 |
| 2026年12月上旬〜下旬(目処) | CEV補助金の申請受付終了の見込み | EV・PHEVなど |
| 2027年1月1日 | この日以降の登録分で、一部車種のCEV補助金が下がる | 一部のEV・PHEV |
| 2027年5月1日 | エコカー減税の25%軽減の基準が上がる | ガソリン車・HVなど |
| 2028年4月30日 | エコカー減税(重量税)の適用期限 | ガソリン車・HVなど |
| 2028年度 | この年度以後に新車登録したEVの自動車税を、車両重量に応じた課税にする予定 | これから買うEV |
| 2028年5月1日 | EV・PHEVの重量税に特例加算を始める予定(すでに持っている車も対象) | EV・PHEV |
自賠責保険料は、自家用乗用車の24か月契約で17,650円から18,560円になります。新しい保険料は、保険期間が2026年11月1日以降に始まる契約から適用されます。
ガソリン車・ハイブリッド車は、2027年5月に減税の基準がもう一度上がります
新車登録や車検のときに払う自動車重量税には、燃費性能に応じて軽くなる「エコカー減税」があります。2026年5月1日から2028年4月30日まで2年延長されましたが、延長と同時に基準が引き上げられました。
基準は、令和12年度燃費基準を何%達成しているかで決まります(令和2年度燃費基準の達成が前提)。2026年5月1日以後は、免税が105%以上、50%軽減が95%以上になりました。25%軽減は80%以上のまま据え置かれ、2027年5月1日以後に85%以上へ上がります。
達成度が80%以上85%未満の車は、2027年5月1日以後の登録では25%軽減の対象から外れ、経過措置で本則税率(軽減のない基本の税率)になります。新車登録時に払う3年分の重量税でみると、車両重量1トン超1.5トン以下の自家用乗用車は、25%軽減で16,800円、本則税率で22,500円です。検討している車が何%達成なのかは、販売店で確認できます。
EVとPHEVの補助金は、契約日より登録日が基準です
EV・PHEVなどの新車を買うと、国の「CEV補助金」(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)を申請できます。2026年4月1日以降に登録した車の上限は、普通・小型のEVが130万円、軽EVが58万円、PHEVが85万円です。実際の額は車種ごとに異なり、次世代自動車振興センターの補助対象車両一覧で確かめられます。対象は自家用の新車で、中古車は対象外です。
申請の受付終了は「令和8年12月上旬〜12月下旬目処」と見込まれています(2026年9月4日公表)。予算額に達した時点で締め切られるため、申請状況によって前後する可能性があります。申請書は事務局への到着順に受け付けられ、基準になるのは契約した日より「登録した日」と「申請書が届いた日」です。
申請期限は原則として登録日から1か月以内です(登録日までに支払いやローン契約が済んでいない場合は翌々月末)。納車まで時間のかかる車は、登録が受付終了後にずれ込む可能性もあります。2027年1月1日以降の登録になると、経過措置の終了で補助額が下がる車種もあります。
補助金を受けた車には、登録日から4年間の保有義務があります。途中で売ったり下取りに出したりするには、事前の承認と補助金の返納が必要です。
EVの税金については、2つの予定が令和8年度税制改正の大綱に書かれています。1つは自動車税で、2028年度以後に新車登録したEV乗用車に、車両重量に応じた課税を導入する方針です。もう1つは自動車重量税の特例加算で、2028年5月1日以後の車検から、すでに持っているEV・PHEVにもかかる予定です(新車登録時と、施行後最初の継続車検は免除。PHEVはEVの2分の1が目安)。
どちらも税率は決まっておらず、令和9年度の税制改正で結論を出すとされています。今買うEV・PHEVも、乗る年数によっては2028年以後の車検で関わる可能性があります。
「今月中なら」の期限と、見積書の諸費用
決算期のセールや「今月中のご契約で」という条件は、販売店やメーカーがそれぞれ決めている期限で、翌月に別の条件が出ることもあります。税金や補助金の日付は法律や予算で決まっていて、国や自治体、補助金の執行団体のサイトで誰でも確かめられます。
見積書の諸費用も、2つに分けられます。1つは法定費用で、自動車重量税(新車は3年分)、自賠責保険料、自動車税、リサイクル料金です。自動車税は登録した翌月から3月までの月割で、年額36,000円の車(1,500cc超2,000cc以下)を10月に登録すると、11月〜3月の5か月分で15,000円になります。軽自動車税には月割がなく、4月1日時点の所有者に1年分がかかります。
もう1つが、検査登録や車庫証明の手続きを販売店が代わりに行う「代行費用」です。自動車公正取引協議会は、中古車の価格を支払総額で表示するルールの解説で、税金や法定費用はどの販売店でも同じ金額で、登録等に伴う費用は販売店ごとに異なると説明しています。このルールは中古車の表示についてのもので、新車の見積書には同じ定めはありません。それでも、総額と代行費用の中身を並べて比べると、見積書どうしの差がどこから来ているかをたどれます。
支払方法を選ぶときも、総額と契約条件で比べる考え方は同じです。カーリースは車を借りる賃貸借契約で、国民生活センターは原則として中途解約ができないことや、走行距離の制限があることに注意を呼びかけています。残価設定ローンは「残クレは本当に「損」なのか?」で詳しく扱いました。
車の売買契約は、クーリング・オフの対象外です
注文書にサインしたあとで家族に反対されたら、クーリング・オフが頭に浮かびます。ただ、店舗での購入はもともと特定商取引法のクーリング・オフの対象に入っていません。訪問販売や電話勧誘販売であっても、自動車の販売は政令で適用除外とされています。
キャンセルできるかどうか、キャンセル料がいくらかは、注文書の裏面などにある契約条項(約款)で決まります。自動車公正取引協議会は、約款で「契約の成立時期」と「キャンセル料」を確認するよう案内しており、成立時期は現金一括とローンで異なります。困ったときは消費者ホットライン「188」か、同協議会の消費者相談室(電話のみ・03-5511-2115、土日祝を除く10〜12時と13〜16時)に相談できます。相談室は販売店との交渉やあっせんはせず、助言を行う窓口です。
サインの前に、何年乗るつもりか、総額でいくらまでか、どの動力の車にするかを家族で話しておけます。4年以上乗るなら補助金の保有義務はその間に終わり、EV・PHEVなら特例加算がかかりそうな車検が何年目に来るかも見当がつきます。次に見積書を持ち帰った夜は、合計欄の数字の横に、登録予定日と次の車検の年を書き込んでみてください。「今月中なら」と言われたときも、その数字を見ながら家族で答えを出せます。
本記事は2026年9月22日時点の公表情報によります。補助金の受付状況や2028年以降の税率は、最新の発表でご確認ください。
出典
- 令和8年度税制改正の大綱(抜粋)自動車関係(2025年12月26日閣議決定、与党大綱・参考資料を含む)国土交通省掲載(2026年9月22日確認)
- 東京都主税局「自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割は廃止されました。」(2026年9月22日確認)
- 千葉県「自動車税(環境性能割)【令和8年3月31日をもって廃止】」(2026年9月22日確認)
- 千葉県「自動車税環境性能割税率区分一覧表」(2025年4月1日〜2026年3月31日)(2026年9月22日確認)
- 経済産業省「令和7年度補正予算 クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「申請受付終了見込み時期について」(2026年9月4日)(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「令和7年度補正 CEV補助金(車両)のご案内」(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「業務実施細則」(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「応募要領」(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「よくあるご質問(FAQ)」(2026年9月22日確認)
- 次世代自動車振興センター「補助対象車両一覧③」(2026年9月18日現在)(2026年9月22日確認)
- 日本自動車販売協会連合会「新車車種別登録台数」(2026年1〜8月)(2026年9月22日確認)
- 日本自動車販売協会連合会「統計データ」(2026年9月22日確認)
- 日本自動車会議所 業界ニュース(日刊自動車新聞、2026年5月7日)(2026年9月22日確認)
- 損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年9月22日確認)
- 総務省「自動車税・軽自動車税」(2026年9月22日確認)
- 東京都主税局「自動車税」(2026年9月22日確認)
- 東京都中央区「軽自動車税に月割制度はありますか?」(2026年9月22日確認)
- 自動車リサイクル促進センター「リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ」(2026年9月22日確認)
- 国民生活センター「国民生活」2024年3月号「中古車の販売価格の表示が『支払総額』に変わりました」(2026年9月22日確認)
- 国民生活センター「カーリースに関する消費者トラブルにご注意!」(2025年9月17日)(2026年9月22日確認)
- 国民生活センター「クーリング・オフ」(2026年9月22日確認)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド 逐条解説(第26条)(2026年9月22日確認)
- 自動車公正取引協議会「上手なクルマの買い方マニュアル 新車編 契約にあたって」(2026年9月22日確認)
- 自動車公正取引協議会「消費者相談室」(2026年9月22日確認)
よくある質問
- 環境性能割がなくなって、車はいくら安くなりましたか?
- 車によって違います。環境性能割は「通常の取得価額×税率」で、税率は登録車が0〜3%、軽自動車が0〜2%でした。取得価額300万円の登録車なら、税率3%で9万円、1%で3万円です。EV・PHEVや燃費基準を95%以上達成した登録車はもともと非課税だったため、廃止による差はありません。
- EVの補助金は年内で終わりますか?
- 次世代自動車振興センターは、申請受付の終了を「令和8年12月上旬〜12月下旬目処」と見込んでいます(2026年9月4日公表)。確定した日付ではなく、申請状況によって前後する可能性があります。申請書は到着順に受け付けられ、予算額に達した日の前日で受付が終わります。2027年1月1日以降の登録では、補助額が下がる車種もあります。
- 補助金を受けたEVは、何年乗る必要がありますか?
- 自家用の乗用車・軽自動車とも、登録日から4年間の保有義務があります。この期間内に売ったり下取りに出したりするには、事前の承認と補助金の返納が必要です。承認を得ずに処分したことが分かると、補助金の全額返納を求められることがあります。
- 今買ったEVにも、2028年からの新しい税はかかりますか?
- 2つの予定で扱いが違います。自動車税の重量に応じた課税は、2028年度以後に新車登録したEV乗用車が対象です。一方、自動車重量税の特例加算は、2028年5月1日以後の車検から、すでに持っているEV・PHEVにもかかる予定です(施行後最初の継続車検は免除)。どちらも税率は未定で、令和9年度の税制改正で結論を出すとされています。
- 契約したあとで、キャンセルはできますか?
- 車の売買契約はクーリング・オフの対象外です。キャンセルできるかどうかとキャンセル料は、注文書の裏面などにある約款で決まるため、サインの前に「契約の成立時期」と「キャンセル料」を確かめておくと安心です。困ったときは消費者ホットライン「188」や自動車公正取引協議会の消費者相談室に相談できます。
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