制服はなぜ高い?案内する販売店数との関係

教育費・進学memStock編集部
制服はなぜ高い?案内する販売店数との関係

高校の入学説明会で制服の注文書を受け取り、ブレザー1枚の値段を見て高いと感じました。シャツやスラックス、体操着を足すと合計はさらに増えます。

公正取引委員会の2023年の調査では、高校の男子ブレザー(上衣のみ)の平均価格は2022年度で36,322円、女子は35,926円でした。学校ごとの価格差について公取委は、学校が案内する販売店が多いほど制服が安くなる傾向を2017年の公立中学校の調査で示しています。高校にそのまま当てはまるとは限りませんが、2026年10月時点では文部科学省も学校に保護者負担の軽減を求めています。

高校の制服、一式でいくらかかる?

今回確認した資料では、一式の全国平均を確認できませんでした。手がかりになるのは品目別の平均で、高校のブレザー上衣だけで3万6千円前後です。

公取委が2023年10月に公表した事後検証は、全国の公立中学校1,200校と公立高校750校を抽出して調べたもので、回収率は約80%でした。品目別の価格推移では、高校の男子ブレザーが2015年度の33,796円から2022年度の36,322円へ、女子ブレザーが32,876円から35,926円へ上がっています。

区分 価格の目安 出典・年度
高校 男子ブレザー(上衣のみ) 36,322円 公正取引委員会・2022年度
高校 女子ブレザー(上衣のみ) 35,926円 公正取引委員会・2022年度
公立高校(全日制)の通学関係費 年97,634円 文部科学省「子供の学習費調査」・2023年度
私立高校(全日制)の通学関係費 年136,790円 文部科学省「子供の学習費調査」・2023年度

学習費調査の通学関係費は制服のほか通学費や通学用品費を含む年間平均で、制服だけの金額ではありません。2026年10月時点で最新の公表は2023年度(令和5年度)分で、2025年度(令和7年度)調査の結果は2026年12月に公表予定とされています。

負担の重さを示す調査もあります。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの2026年の調査では、制服代の準備が難しいと答えた割合が新高校1年生で82.3%、新中学1年生で84.4%でした。対象は同団体の支援に申請した世帯で、全世帯の割合ではありません。

学習費調査の費目を公立と私立で比べたいときは、こちらの記事が参考になります。

案内する販売店の数と価格の関係

学校が案内する販売店の数が多いほど、制服の価格は安くなる傾向があります。公取委が2017年に全国の公立中学校600校へ書面調査を行い、447校(回収率74.5%)の回答を分析した結果です。

単純に平均を比べると、案内する販売店が4店以上の学校は1店の学校より平均販売価格が安い傾向でした。回帰分析という統計の手法で確かめても、販売店の数が増えると価格が統計的に有意に安くなっています。

公取委は2023年の報告書で、学校がコンペ、入札、見積り合わせといった方法でメーカーや販売店を選ぶことを期待すると書いています。複数の業者を比べて選び、価格の競争が働くようにする狙いです。

これは違法と認定したものではなく、競争政策の立場からの提言です。学校やメーカー、販売店が不当に利益を得ていると示したものでもありません。分析の対象は公立中学校で、高校にそのまま当てはまるとは言い切れません。今回確認した資料では、制服の原価の内訳も確認できませんでした。

2017年の調査から6年、価格は下がったのか

高校のブレザー上衣の平均は2015年度より2022年度の方が高くなっていますが、提言を実施した学校では3年後に6.9%の価格低減効果があったと推計されました。2023年10月23日に公表された公取委の事後検証報告書の結果です。

この6.9%は、提言を実施した学校とそうでない学校の値動きを比べた推計(差の差分析)です。全国の制服価格が一律に6.9%下がったという意味ではありません。ブレザー上衣の平均は途中で低下した年度もありますが、2022年度は2015年度を上回っています。

平均が上がる中でも、選び方を変えた学校では上がり方が抑えられたと読めます。わが子の学校がどちらに当たるかは、平均の数字からはわかりません。

国は学校に何を求めている?

保護者の負担が重くなりすぎないようにすることと、制服の安価化やレンタルの検討です。文科省は2023年10月23日の通知で、学校と教育委員会に「保護者等の経済的負担が過重なものとならないよう留意すること」を求めました。

時期 出したところ 内容
2017年11月 公正取引委員会 公立中学校の制服取引を調査
2023年10月 公正取引委員会 事後検証報告書。コンペ・入札・見積り合わせによる選定を期待
2023年10月 文部科学省 通知で保護者負担が過重にならないよう求める
2025年6月 文部科学省 通知で制服の安価化・レンタル制度の事例を周知
2026年7月 文部科学省 教育委員会の取り組み事例を公表

2025年6月25日の通知は負担軽減策の4番目に「制服の見直しによる安価化やレンタル制度の導入」を挙げ、県立高校でコンペや生地の見直し、レンタルを取り入れた事例を載せています。2026年7月の事例資料には、さいたま市で制服の価格を約46,000円から40,000円にした例もありました。市の取り組みの一例で、高校や全国の平均にあてはめられる数字ではありません。

家庭でできる負担の減らし方

公的な支援で何が対象になるかを先に確かめ、そのうえで譲り受けやサイズの決め方で出費を抑えます。授業料の支援と制服代は別で、2026年10月時点で高校の就学支援金が支えるのは授業料だけです。制服や指定の学用品の代金は対象外になります。

無償化のあとも自己負担が残る費目は、こちらの記事で整理しています。

中学に入るきょうだいがいるなら、就学援助も確かめておきます。国の就学援助の補助対象品目には「新入学児童生徒学用品費等」があります。国の補助の対象は要保護者で、準要保護者への援助は各市町村が実施します。制服代に充てられるかどうかは自治体に確かめてください。

共働き世帯がどこまで就学援助の対象になるかは、自治体ごとの年収の目安を比べた記事にまとめました。

採寸のときは、高校在学中に着ることを想定し、成長分をどこまで見込めるか販売店に確かめます。卒業生からの譲り受けやリユースの仕組みがあるかは学校やPTAに確認し、あれば利用条件と購入が必要な品目を確かめます。

入学説明会で確認したいこと

品目ごとの指定の有無、案内される販売店の数、採寸と注文の期限を見ておきます。まず説明会の配布資料を見て、わからない点は学校に問い合わせます。

確認すること 見る場所 確かめる理由
指定品か任意品か 注文書・購入案内 任意品の購入要否と購入時期を確かめる
案内される販売店の数 購入案内 1店か複数店かで価格の傾向が違うという調査がある(公立中学校)
採寸・注文の期限 説明会資料 受取予定日を確かめるため
譲り受け・リユースの可否 学校・PTAの案内 利用条件と必要な購入品目を確かめる

販売店が1店だけでも、それだけで問題があるわけではありません。価格の見直しを望むなら、公取委や文科省の資料を添えて学校やPTAへの相談を検討できます。

採寸や購入がいつ頃になるかは、入学準備を月ごとに並べた記事で確かめられます。

説明会の封筒を開けたら、まず注文書の品目ごとに「指定」の文字があるかを確かめ、印のないものを手持ちで済ませられるか家族で話してから申し込みます。

出典

すべて2026-10-27に確認。

よくある質問

なぜ高校の制服はあんなに高いの?
公正取引委員会の調査では、学校が案内する販売店が少ないほど制服の価格が高い傾向が示されています(公立中学校のデータ)。2023年の報告書では、提言を実施した学校で3年後に6.9%の価格低減効果が推計されました。今回確認した公表資料では、原価の内訳を確認できませんでした。
高校の制服は一式でいくらくらい?
今回確認した公的資料では、一式の全国平均を確認できませんでした。ブレザー上衣だけで、2022年度の高校の平均は男子36,322円、女子35,926円です。学校ごとの実際の価格は購入案内で確かめてください。
制服の値段が高いのは法的に問題ないの?
公正取引委員会は違法と認定したのではなく、競争政策の立場から学校に業者の選び方を見直すよう提言しています。文部科学省も2023年の通知で、保護者の負担が過重にならないよう学校に求めています。
高校無償化で制服代も無料になる?
なりません。2026年10月時点で高校の就学支援金が支援するのは授業料で、制服や指定学用品の代金は対象外です。

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